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【プロ野球】

<WBC>岡田 奇跡の7球 ヒヤヒヤ…併殺で切り抜けた

2017年3月9日 紙面から

5回裏1死満塁、ピンチをしのいだ岡田(中央)を迎える先発の菅野(左端)ら=東京ドームで(北田美和子撮影)

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◇1次リーグ 日本4−1オーストラリア

 地獄一歩前から生還した。同点で迎えた5回1死一、二塁で岡田がコールされた。先発・菅野の球数が65に達し、後を託されたが、ストライクが入らない:。

 「気持ちが入れ込みすぎていた。気持ちばかり先にいってしまった」。1ボールからのシュートが暴投になり、進塁を許す。その後もストライクが1球も入らず、四球で満塁に。すかさず権藤コーチが激励に訪れ、松田、坂本勇らが声を掛ける。

 「間合いも取ってもらったし、声援も大きくてありがたかった」。だが、続く打者にも2ボール。まさに絶体絶命。顔色は徐々に失われていく。それでも孤独なマウンドでは誰も助けてくれない。「押し出しは考えなかった。最後はお客さんの声援に助けられた」。スタンド全体からわきあがる岡田コール。腕を振るしかない。そして運命の3球目−。

 真ん中を狙った直球が微妙に動く。持ち前の球筋だ。打者の芯を外し、ボテボテのゴロが二塁へ。菊池がさばいて4−6−3の併殺打に。奇跡的にピンチを切り抜けた瞬間、ベンチの小久保監督はもちろん、球場中がガッツポーズ。「放心状態で覚えていません」。左腕は、生きた心地がしなかった。

 侍ジャパンという夢の舞台は、プレッシャーとの戦いだ。日本中が注目する分、成功しても失敗しても野球ファンの脳裏に一生刻まれる。宮崎合宿へ旅立つ那覇空港。竜のチームメート、大野からのメッセージが心に染みた。「命までは取られへんし、思い切っていきゃ〜」。まじめで一本気な後輩を思っての優しさ。「僕の性格を知ってて言ってくれている。本当にありがたい」。土壇場の状況で先輩の激励がいきた。

 送り出した権藤投手コーチは「球が動くのが持ち味ってこと。結果的にいいチェンジアップ気味になった。あれで勝てたようなものですよ」とたたえた。結果良ければすべて良し。岡田、奇跡の7球だった。 (土屋善文)

 

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