ハンソル氏暗殺に向けた動きさらに活発に…「正男氏長男動画」を辺真一氏が分析

2017年3月9日6時0分  スポーツ報知
  • 「数日前に父親が殺された」と話すハンソル氏を名乗る男性(動画投稿サイト「ユーチューブ」から)

 北朝鮮の金正男氏殺害事件で、息子のハンソル氏(21)を名乗る男性が話す約40秒の動画が投稿サイト「ユーチューブ」に投稿されていたことが8日、分かった。韓国政府関係者は、ハンソル氏本人との見方を示した。正男氏が2月13日にマレーシアで殺害後、家族の動静が明らかになったのは初めて。事件から3週間あまりたった今、映像が公開された理由や意味などについて、「コリア・レポート」編集長の辺真一氏に聞いた。

 「金氏一家の一人」を名乗る男性が語る40秒間の映像は、「千里馬民防衛」というグループが投稿。ホームページの声明文では、オランダ、米国、中国と韓国とみられる匿名の計4か国の支援があったことを明かし、「事件後の先月、ハンソル氏から『助けてほしい』との要請があった」とした。突如公開された映像について、辺氏は「北朝鮮の立場は苦しくなった」とみている。

 《1》「千里馬民防衛」はどんなグループか 

 「千里馬」とは朝鮮の伝説上の馬で、北朝鮮では1950年代に国家建設のスローガン(千里馬運動)としても使われてきました。今まで聞いたことがないグループで、今回作られた、もしくはこれを機に活動を始める団体と思われます。バックには米韓が付いている可能性が高いでしょう。

 《2》なぜ、このタイミングでの公開か

 事件から間もなく1か月となりますが、北朝鮮は関与を認めず、捜査が進展していない。これに対し北朝鮮を孤立させたい勢力は、歯がゆく思っています。映像を公開することで北朝鮮に揺さぶりをかけると同時に、マレーシア側に「間違っていない」という“後方支援”の意味があるのでしょう。

 《3》パスポートのモザイク、英語で話したのは?

 誕生日など公開されたくない情報が記されているのが理由かもしれません。英語で話したのは、国際社会に向けて世論を喚起したいという理由です。北朝鮮に向けた映像ではないので。

 《4》映像から判明したことは何か

 事件当初はマカオで中国の保護下にあるとも言われていたハンソル氏でしたが、早い段階から米国かオランダが保護していることが分かりました。すでに、どちらかの国に亡命した可能性も。これにより、マレーシア警察によるDNA鑑定の実施は近いともいえます。

 《5》公開による今後の動きは

 ハンソル氏自身が「父が殺害された」と明言したことで、北朝鮮は今まで以上に苦しい立場に立たされました。関係が近いオランダ、中国が今回の件に関与していることが判明し、両国との溝も深まるでしょう。北朝鮮側は、ハンソル氏暗殺に向けた動きが、さらに活発になると思われます。

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