男が一人で映画を見ているこの写真、なんか、私のような気がします。寂しいように見えるけど、「オレには映画があるからいいんだ」ってやせ我慢しているおっさん。
知っている役者さんが出てくる映画は嫌だった
はてな匿名ダイアリーのこんな記事が話題になりました。
■いい加減気付こうぜ
同じ映画を何度も見るって普通じゃないよ
一回見てわからないことがあるならそれでいいじゃん
人に聞くとか評論見るとかでいいじゃん
何度も同じ映画を見るのってホントキモいと思う(「はてな匿名ダイアリー」より)
私も、そう思っていたことがありました。結末の分かっている同じ映画を何度も見て何が面白いの? って。
福島の田舎町に住んでいたとき、私はどう生きていいかも分からず、毎日飲んだくれていました。映画は現実逃避の手段でもありました。お金を払って暗い劇場に入れば夢の世界が広がるのです。
邦画よりも洋画が好きでした。邦画には高倉健さん、吉永小百合さんなど有名な俳優さん、そうでなくてもテレビでみたことのある人が出て来たりします。だから、もう、これは「嘘の世界だ」って、はっきり分かってしまって、夢の中に入りきれなかったのです。
その点洋画はどっぷりと映画の中に入ることが出来ました。当時は知っている外国の役者さんは一人もいなかったからです。
- 「ロッキー」「がんばれ!ベアーズ」
自分と同じようにダメな主人公が活躍するのは気分爽快でした。 - 「狼たちの午後」「燃えよドラゴン」「パピヨン」「ダーティハリー」、エアポートシリーズ、「JAWS/ジョーズ」
実際には自分が体験できないことを映画館で味わうことが出来ました。
映画が終わって、外に出ると現実の世界に戻りましたが、元気が出たような記憶があります。こんな映画の見方でしたから、同じ映画を何度も見るという発想はありません。内容を知っている映画を見てもつまらなかったと思います。
それが、現在ではそれほどでもない新作映画を見るなら、名作を何度も見たほうが良いと考えるようになりました。
映画をたくさん見ると変わります
蓄膿症の手術をするために入院したことありました。 そのとき、友人が「シナリオ」という雑誌を持って来てくれました。
映画はセリフが決まっていて、カメラの前で演技して撮影されます。そんなことは分かっていましたが、「シナリオ」の掲載された台本を見てから、映画がどんなふうにして作られるのか興味が湧きました。
- あ、今、カットが切り替わった。
- あ、今度はアップだ。
- カメラが移動している・・・。
映画館にノートを持ち込んで、セリフなんかをメモしながら見たこともあります。
映画が面白くなって、レンタルビデオの映画をみて、テレビの洋画劇場、NHKの名画劇場、BSの映画を録画してみました。新作映画も見ます。
録画したビデオが300タイトルを越えるころには、ずいぶんと映画を見る目が肥えて来ました。監督によって映画の色合いも違いますし、役者さんの演技もいろいろあるのがわかってきます。
こんな状態で新作映画を次々と見ると、段々と「見て損した」と思うことが多くなりました。面白いと思えるのは10本に一本とか、二本とかになってしまったのです。
数多く映画を見ると、映画監督の名前も覚えます。この監督の映画なら、間違いないというか、大丈夫だと期待して見るようになりました。脚本家で見る映画を選ぶこともありました。
今では、昔のように知らない役者さんが出る映画の方がリアルだから良いとは考えていません。監督や役者さんや衣装・・・いろんな人によって作りあげた世界映像の完成度の高さ、感動的なシーン、いい映画は何度みてもいいと思います。見て失敗したと思うより、いい映画を何度も見た方が得るものがあります。
ちなみに、一番多く見たのはこの映画。十数回は見ていると思います。
Youtubeに「好きなものの話」と言うトーク番組の録画があります。その中で松本ひとしさんが5、6回、千原ジュニアさんは10回以上は見たと言っています。
同じ映画が好きで、同じように何度も見ているのは仲間みたいで嬉しい。
今はこんな映画の見方をしています
期待して映画館に行ったのに、つまらなくて 映画館を出たくなってしまうことがあります。
- 「ミュンヘン」がそうでした。
スティーヴン・スピルバーグ監督の作品は「激突!」、「ジョーズ」、「カラー・パープル」は好きですが、好きなのばかりではありません。
暗殺に手を染めていくことで精神的に病んでいく主人公達の苦悩を描きたかったと言っているそうなので、それを意識して見直すと違う結果になるかも知れません。 - 「シン・ゴジラ」
数々の映画賞を受賞していますが、あの会議のシーンに耐えられなくで、映画館を出ようかと思いました。評判を聞いて見ることにしたのですが、合いませんでした。
こんな経験は嫌です。それで、新作はかなり調べてから見に行くようにしていますが、参考になるのは「Yahoo! 映画」のレビューです。
アマゾン・レビューのように文章から参考にすべきレビューなのか、無視すべきなのか難しいところもありますが、酷評する訳にはいかないプロの批評より参考になります。
あと、最近よく行くのか、「午前十時の映画祭」。名作として評価の定まった映画ですから安心して見に行けます。
これは全部見たかった。しかし、見れたのは10本。何度も見た映画なのに見に行ったのもありますし、名前を聞いても見ていなかった映画もあります。
今年度最後の「浮雲」は見に行きたいと思ってます。名作と聞いてDVDを見始めたのですが、感情移入もできなくて見るのを止めてしまったことがあるのです。随分前の話です。
大きな画面でじっくり見れば良さが分かるのではないかと期待しています。
「シンドラーのリスト」も途中でやめたことがあります。これも大きな画面で見直したいと考えてます。