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【東京】

恐怖体現、鎮魂の舞台 東京大空襲体験者の声をバックに

東京大空襲の夜を追体験する公演のイメージ写真(ダイトウノウケンさん撮影)

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 東京大空襲の体験者の証言を音声で流しながら、ダンサーが鎮魂のパフォーマンスをする「3・10 10万人のことば」が九、十日、台東区雷門の「ギャラリー・エフ浅草」で開かれる。十三回目となった舞台に挑む鈴木一琥(いっこ)さん(44)=墨田区京島=は「今も世界のどこかで戦争は起きていることを、戦争を体験していない私たちが考えるための提案をしたい」と話す。(神谷円香)

 公演は鈴木さんと、妻でアーティストのカワチキララさん(45)の二人が企画し、二〇〇五年から毎年続けている。東京大空襲を体験した十六人のインタビューをカワチさんが編集し、流す。鈴木さんは、一夜で下町を焼き尽くした空襲の恐怖を肉体で表現する。

 今年は、戦時下の「言いたいことが何も言えなかった雰囲気」を感じさせる証言を初めて取り入れた。「気がついたら物が言えなくなっていた」「言いにくさを感じる」。これらの言葉から、現代と共通する空気を感じたからだ。

 インタビューで、ふとこぼれた本音にカワチさんは「それが聞きたかった」という。

 鈴木さんは「なぜ今この公演をやるのか、社会の背景も変わるので毎年考えている。戦争は特別なことと思ってはいけない」と話した。

 会場は、江戸時代末期に建てられた土蔵を再生したアートスペース。関東大震災や東京大空襲、東日本大震災にも耐えた惨禍の「生き証人」だ。公演は九、十日の両日とも午後七時開演。上演時間約一時間。入場料三千二百円。ドリンク付き。問い合わせはギャラリー・エフ浅草=電03(3841)0442=へ。

 

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