“原発避難いじめ” 大人も半数近くに

“原発避難いじめ” 大人も半数近くに
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「原発避難いじめ」について、NHKなどが福島県から避難した人たちに行ったアンケート調査で、いじめを受けていた子どもたちと同じく、大人たちも「賠償金」などを理由として避難先で嫌がらせや精神的苦痛を受けていて、その数は全体の半数近くに上ることが明らかになりました。
NHKが早稲田大学などと協力して、福島県から避難した人たちを対象に行った「原発避難いじめ」のアンケートでは、回答した741人のうち、「子どもがいじめられた」と回答したのは54人に上りました。

さらに、半数近い334人が、大人も避難先などで嫌がらせや精神的苦痛を感じたことがあると答えていました。その内容について複数回答で尋ねたところ、賠償金に関するものが最も多く274件、避難者であることを理由としたものが197件、さらに、放射能を理由としたものが127件でした。

具体的には「避難者であることを理由に団地の行事に参加させてもらえなかった」や「自動車に傷をつけられた」、さらに、「転職先で賠償金をもらっているから資格や給与をあげる必要はないと言われた」など、福島県から避難した人たちに対する嫌がらせや偏見が、子どもだけでなく大人たちにも広がっている実態が浮かび上がりました。

首都圏に避難してから2人の子どもがいじめに遭い、自身も職場で嫌がらせを受けたという父親は「東電に文句いえば、金になるんだろうから働かなくていいといわれた。被災者だというのが知られると怖いので、福島の人間だと言わないようにしています」と話していました。

アンケートを実施した早稲田大学人間科学学術院の辻内琢也教授は「賠償金が生活環境やふるさとを奪われた人たちに対する償いであるということが忘れ去られてしまっている。多くの人たちが原発事故の被害が今でも続いていることを知ることが大切だ」と話しています。