妄想の話
3月2日、保護観察延長の為の審判があり、娘は預けて主人と二人で少年院に向かった。
空君は去年の8月に20歳になったので、卒院した後は保護観察が付かないのだが、少年院の要請により4か月の延長期間を設けることになり、それを正式に決定するための審判だった。
(決定しているので「保護観察が4か月延長されますよ」と言われるだけなのだが、一応審判をやらなければならないらしい。)
到着するとすぐ審判が始まった。
裁判官は空君に、
「一年間少年院に居て心境の変化があったと思うのですが、女の人に悪いことをしてはいけないのはなぜだか答えられますか?」
と聞いた。
空君が
「法律で決まっているから。」
と答えた為、
裁判官は
「事件を起こしたのは病気の影響があったからだと聞いていますが、やはり君はちゃんとお薬を飲まないといけないようですね。」
と言った。
(本当はここは「女の人がいやな気持になるから」と答えなければいけないところだった。)
裁判官が、お薬はお医者さんの言う通り、お医者さんに指示された量をきちんと飲まないといけませんよ、と言うのを親子で「ハイ、分かりました。」と適当に聞いた後、審判終了。
次に空君との面会があり、久しぶりに主人と私と空君との3人で話をした。
空君が、「少年院は怖いんだよ。」と言ったので、主人と私で「どうして?」と聞くと、空君は答えた。
「夜毎日女の人が出てくるんだ。」
主人と私は身を乗り出した。
「へー。それはいつも同じ人?それとも違う人?」と主人。
「う~ん・・・いつも違う人。」と空君。
「その女の人はどんな感じの人なの?」主人が聞くと
「ええと・・・歳は23・4歳位で・・・。」と空君は答えた。
横で聞いていた女性職員が少し笑いながら
「夜は○○先生達が巡回してるから・・・。」(少年院の職員さんは学校のように先生と呼ばれている。)
と言った。
空君は続けた。
「その女の人が窓からそおっと中を覗くんだ。」
「それが仕事だからね。」
真剣な顔で訴える空君の顔を見ながら主人も笑いながら言った。
書記の人も赤い顔をして笑っていた。
空君に笑わせてもらった後、これからのことや何でもないことを色々話て30分間の面会終えた。
前日に空君が夕食を部屋の外にぶちまけた話を医師から聞いていたので調子が悪いのかと思っていたら、意外と元気そうだった。
最初審判の部屋に入ってきた時は、にやにやして変な感じだったが、3人で話しているうちに顔色も良くなっていって、普通の空君に戻ったかのようだった。
本当の妄想の話は
「部屋には外に通じる穴が開いていて、その周りには『オズ』という心地よい空間が広がっていた。自分はそこでドラゴンを生み出したが、いろいろあって『オズ』は消滅し、自分の居場所は無くなり、ドラゴンも消失してしまった。ドラゴンを殺してしまった自分は皆に狙われる存在となり、今は始終鉄砲玉で狙われていて、怖い。」
というもの。
空君、もうほとんど統合失調症の人になってしまった。
メジャーを飲めば飲むほど統合失調症っぽくなっていく。
最初の事件を起こした当初はスタッフの間で「発達障害だ」と言われていたのだが(少年院に来たときも統合失調症か発達障害かで意見が真っ二つに割れたらしい。)、今はもう妄想も酷くなり、すっかり統合失調症。
女の人の気持ちが分からない→人の気持ちが分からない っていうのは発達障害の特徴だと思うんだけど。
でももうここまできたらどっちでもいい。
とにかくこれ以上薬が増えないように祈るだけだ。
妄想の話をしても薬が増えない、何もされないと分かった空君、医師にもバリバリ妄想の話をしているらしい。
だからT医師は妄想を消したくて薬を増やしたがっているんだな。
先日電話してきたM医師は、「何か無い限り薬が増えることはないと思いますよ。」と言っていた。
やっぱりね。
薬を増やしたがっているのはT医師だけなのだ。
電気ショック療法も大好きだというT医師。
「残念ながらここでは10年前から電気はやってないんですよ。」
少年院に入った当初、残念そうにT医師は言っていた。
少年院内での電気ショック療法が廃止された後で本当に良かった。
空君の黄金時代、子供時代の記憶が消されちゃったら、かわいそうだしね。
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