『いままでなんかいも死のうとおもった。でもしんさいでいっぱい死んだからつらいけどぼくはいきるときめた』
福島第一原発事故を受け横浜市に自主避難をした男子生徒が、転校先の学校でいじめにあって書いた手紙。被害生徒は名前に「菌」と付けられ、いじめは次第に暴力にまで発展。さらには、金銭の要求へとエスカレートした。その額はおよそ150万円にのぼるという。
そして、いじめの報告書が出ても何も対応をしなかった学校や市の教育委員会に対して出した手紙には、『ばいしょう金あるだろうと言われむかつくし ていこうできなかったのも くやしい』と綴られていた。
今、問題視されている「原発避難いじめ」。その原因はなんなのか、そして私たちがすべきことは?『はじめての福島学』といった著書や講演でありのままの福島について発信を続ける立命館大の開沼准教授、2016年に避難指示が解除された福島県川内村の遠藤村長、今も避難生活が続いている浪江町の馬場町長の3人に話を聞いた。
いじめは今さらクローズアップされていますが、5年前からありました。「福島は菌」と言われることなんて、メディアでは語られませんが、あちらこちらで語り続けられています。
いじめは「太っている」とか、「暗い」とか、理由をつけてするものです。そんな中、今の日本では「福島」が因縁をつけやすい対象になっているのは事実だと思います。
「放射線量が基準値以下だ」とどんなに説明しても、2割の人は絶対に受け入れません。ただ、8割の人は「基準値以下なら」「超微量なら」と受け入れられるんです。
しかし、修学旅行で「福島へ行く」と決めると、2割の保護者が反対する。そして、それを受けた大人が「やっぱり、そうですよねぇ」と認めて、結局取り下げてしまう。
「大人が現状を理解していないことからいじめが起きている」という現実から目をそらしてはいけないと思います。
当然いじめなんて許されていいわけないですが、どう解決していくかは非常に難しい問題です。
川内村でも、避難先の学校に行くのが嫌で、川内で学校を早く再開してほしいと訴える親御さんがいました。ストレスでどうしても馴染めないという子どももいて、「早く川内に帰りたい、川内の小学校に戻るから再開してね」と。
県外には馴染めない環境があったり、ひょっとしたら横浜で起きたいじめ問題で発せられたような言葉を言われたりした可能性もあります。
でも、最終的には打たれ強くなってほしいなと思います。自分で問題にぶち当たって解決していってほしい。ただし、それができない子どもがいるのも事実ですよね。
読み込み中…