財閥は、財団に資金を拠出した。財閥は、「大統領側に強要された」とは言うが、対価性がある「贈賄」ではないと一貫して否定する。大統領側は、「収賄」はもちろん「強要」も全面否定している。
こうした状況でどういう判断を下すのか。3月6日、一連のスキャンダルを捜査してきた特別検察が、「最終捜査結果」を発表した。
サムスン電子の李在鎔(イ・ジェヨン=1968年生)副会長による「賄賂供与」や、崔順実氏の娘の梨花女子大への不正入学、文化人ブラックリストの作成、崔順実氏による人事、利権介入・・・99ページにわたって捜査結果を記述している。
だが、大統領側は、特別検察の捜査結果をすべて全面否定している。サムスン側も、全面否定だ。
どう判断するのか?
特別検察の捜査と憲法裁判所の判断は直接は無関係だが、捜査結果についてもこれだけ見解がはっきり分かれているのに、いったいどうやって「弾劾」か「棄却」を判断するのだろうか。
ともあれ、10日にも結果発表がある。棄却となれば、大統領はすぐに職務に復帰する。弾劾=罷免となれば、青瓦台(大統領府)を出ることになる。憲法の規定では、大統領が「欠位」になった場合、60日以内に大統領選挙が実施となる。
選挙日程は、大統領権限代行である黄教安(ファン・ギョアン=1957年生)首相が決めることになる。万一、黄教安首相が保守系候補として大統領選挙に自ら出馬する場合、どうなるか。憲法71条には「代行権の順番」という規定がある。
それによると、首相の次は、「企画財政部長官」→「教育部長官」・・・などと順番で「大統領権限代行」になる。
大統領選挙の投票日は、60日以内だが、できるだけ選挙期間をおくべきだとの声が強い。
早期選挙なら5月9日か12日?
3月10日に弾劾の結論が出た場合は5月9日、13日に結論が出た場合は5月12日の選挙が有力視されている。弾劾=罷免で、5月に大統領選挙が実施になると、当選者は、当選が決定した日から5年任期の次期大統領になる。
通常の場合、12月に選挙があり、就任は翌年の2月末。2か月以上の期間がある。この間、「大統領職引継ぎ委員会」ができて、業務の継承や政策作り、人事の調整などをする。今回は、すぐに就任するため、かなりの混乱が予想される。
弾劾=罷免、になった場合、大統領はどうなるのか。現職大統領の給与の95%相当の終身年金がなくなるほか、事務所の提供などさまざまな優遇措置がなくなる。警護警備だけはつく。