【社説】THAAD装備到着、韓国国内の政争は今こそやめるべきだ

 現在、韓国内部は大統領弾劾をめぐって二つに割れている。外からどんな波風が打ち寄せるかも知らずに内輪でいがみ合い、すでに数カ月になる。野党「共に民主党」「国民の党」は、THAAD関連装備が到着したというニュースに強く反発し、「THAAD配備即時中止」を要求した。「共に民主党」の文在寅(ムン・ジェイン)前代表は「次期政権に持ち越すのが最善」という従来の立場を繰り返し、李在明(イ・ジェミョン)城南市長は「THAAD地上げの中止」を主張した。「国民の党」の安哲秀(アン・チョルス)前代表だけが「全ては北朝鮮の核が原因で生じたことであって、韓米同盟を通してこれを防ぐしかないということを中国に説明すべき」と語った。

 THAAD問題は、今後険しい展開が予想される安全保障の現実の「入り口」にすぎないかもしれない。「北朝鮮が核ミサイルを実戦配備するまで座視しているのか」という問いに始まる、北朝鮮核施設への先制攻撃や米軍の戦術核再配備などといったはるかに困難な選択を、韓国がこの1-2年のうちに強要されることもあり得る。THAAD配備まで「憲法裁判所の弾劾審判を前に安全保障のフレームを作りたいという政治的意図」と見なす現在の民主党流の視点で、これらの問題が手に負えるのかどうか疑問だ。

 米国ホワイトハウスの報道官は6日、「THAAD配備を通して防衛能力を強化する」と、初めて公にTHAADに言及した。また在韓米軍は7日、烏山空軍基地で荷下ろしされるTHAADのランチャー車両の写真を公開した。今月末のレックス・ティラーソン国務長官訪中および4月の米中首脳会談を前に、米国の意志を鮮明にしたのだ。北朝鮮の核・ミサイルから韓国を守るという意志を、韓国で大統領になろうという人物ではなく、米国の人物から見いだすこと自体が気掛かりな事件だ。

 野党側の大統領選ランナーには、安全保障に関するかぎり、支持層に迎合する激しい言動を自制するよう望む。韓国政府も、環境影響評価など必要な手続きに万全を期し、THAAD稼働に支障がないようにすべきだ。THAADが早期に稼働してこそ、次期政権の負担も減るだろう。

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