THAAD:韓国野党内にも「早期配備は次期政権にプラス」の声

THAAD:韓国野党内にも「早期配備は次期政権にプラス」の声

 韓国と米国は当初の予想よりもはるかに早い3月6日をTHAAD(米国の最新鋭地上配備型迎撃システム「高高度防衛ミサイル」)の稼働開始日とした。このように両国がTHAAD配備を急いだ理由は、まず日々高度化する北朝鮮の核とミサイル能力に対応するためだ。また同時に中国と韓国国内の一部勢力がTHAAD配備を利用して韓米同盟に亀裂をもたらそうとしているため、この状況を長く放置できないという事情もあったようだ。

■新政権発足前に配備

 THAAD砲台が突然配備された背景には、韓国国内で弾劾審判の結論が近く出されることも影響している。韓国国防部(省に相当)はこの日行われたブリーフィングで「(THAADの早期配備は)政治状況を念頭に置いたものではない」と説明しているが、韓国政府周辺では「弾劾審判の結果と関連して大統領選挙が早期に行われる可能性も影響したのでは」との見方も語られている。韓国国防部のある関係者は「米国は北朝鮮のミサイルの脅威に対抗する最低限の手段としてTHAADを配備すべきと考えているが、実際にTHAADが配備されてしまえば、韓国で次の政権がどうなってもこれを撤回するのは難しくなるだろう」などの見方を示した。

 この関係者はさらに「それでも中国は韓国国内の反対世論を利用し、韓米同盟そのものを揺るがそうとするだろうし、また政権獲得の可能性が高い野党ではTHAAD配備を後から撤回できるかのように語っている。そのためTHAAD配備は大統領選挙前に終わらせるべきで、それによって安全保障政策の混乱を最小限に抑えることができる」とも述べた。ある国防部OBも「野党が政権を握ればTHAAD配備計画を見直す恐れがあるため、韓米両国はTHAAD配備を既成事実化する『象徴的な措置』を弾劾審判が行われる前に取っておき、THAADが選挙の争点になることを避けようとしたようだ」との見方を示した。

 野党内にも「韓米同盟に亀裂を生じさせないでTHAAD配備を取りやめることは難しくなったため、現政権でこの問題に決着をつけた方が次の政権にとってもプラスだ」との見方がある。そうなれば中国に対して「われわれが政権を握れば何とかしようとしたが、前の政府ですでに配備まで終わらせたのでどうしようもない」と説明し、その上で「両国関係を改めて修復しよう」と言うことができるからだ。ある政府関係者は「野党からは『安全保障政策でくぎを刺された』という指摘もあるが、これは間違ってはいない。反対する側でも外交・安全保障政策の識者の多くが『やるなら早くやれ』と政府に求めていた」と明かしている。

李竜洙(イ・ヨンス)記者
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