エジプトでは補助金付きの安いパンが庶民の生活を支える一方で、国庫にとって大きな負担となっており、これまでも、サダト大統領の時代から政府がパンの料金を上げようとして暴動が発生することもありました
そのエジプトで、政府がパンに対する補助金を削減するとの話が広まり、各地で抗議デモが生じている模様です。
ただし、この件についてもエジプト政府に対するスタンスによって、記事の力点が違っているのは興味深いところです。
とりあえずアラビア語メディアから取りまとめたところ次の通り

・最近この種の抗議デモが少なくなっていたが、パンに関して再びエジプト各地で抗議デモが生じ、道路を閉鎖したり、官庁の前で抗議したりの行動が続いている。
抗議があったのは、カイロの貧乏な地区のほか、アレキサンドリア、メニア、カファルッシェイク等の由
抗議者は「食料がほしい、パンが欲しい」とのプラカードを掲げ、各地で警察が動員された由。
なお、この抗議は、有資格者(要するに貧乏な人)が、食料カードで買える、補助金付きのパンが、一人一日5枚から3枚に縮小されるとのニュースで生じたものである。
エジプト政府は巨大な財政赤字を抱え、IMFからの借款の条件として、政府支出の削減を迫られている
http://www.alquds.co.uk/?p=684787
・エジプト供給大臣は、デモが始まって数時間後の記者会見で、補助金の削減は正しい政策で、政府としては後退することはないとして、パン屋一軒につき、一日の補助金付きパンの製造を、これまでの1500枚から500枚に下げるとの政策を擁護した。
また1週間以内に、すべての県で、現在の紙のカードを、賢いカード(チップ内蔵のプラスティック・カードか?)に変えると発言した由
(おそらく、紙の受給カードでは、不正受給が後を絶たないために、チップ内蔵のカードで自動的に、受給が記録されるシステムにするのかと思われるが、あのボクラ・インシャーラーの国で、1週間ですべての県で、果たしてカードの変更ができるのかはなはだ疑問である)
パンの危機は、一部のパン屋がカードを持たないものに対する、パンの販売を下げたり、さらに一部のパン屋が、「賢いカード」発給までは、有資格者に対しても安いパンは売らないと表明したこと等方始まった
http://www.aljazeera.net/news/arabic/2017/3/8/وزير-التموين-المصري-يتمسك-بخفض-الخبز-المدعم
・エジプト政府は、今後カード所持者に対する、補助金付きパンの供給が、これまでの一人5枚から3枚に減らされるといううわさを否定し、個人に対する一日当たりの供給量は変わらず、政府としては安定して国民にパンを供給すると表明した
https://www.alarabiya.net/ar/arab-and-world/egypt/2017/03/07/مصر-الحكومة-تنفي-تخفيض-حصة-الخبز-للمواطنين.html

以上の通りで、エジプト政府に同情的なal arabia net は、個人当たりのパンの供給量の削減はないとしているが、パン屋当たりの一日の補助金の量が、これまでの1500枚分から500枚に削減されるという点については、、触れていない。
しかし、現実にこの政策が実施され、パン屋の前に並んだ大勢の庶民の前で、パンが売り切れとなった場合には各地で、混乱が起こるのではないかと思われます。