専門家は過去の例から見て、THAAD問題による報復の影響が1年前後続くと予想した。韓米の国防当局は今年5-7月にもTHAAD配備を完了する構えで、今年上半期は中国による制裁が強化される可能性が高い。ユジン投資証券のチュ・ヨンフン研究員は「尖閣諸島(中国名・釣魚島)の領有権紛争が生じた2012年9月、中国が日本への観光旅行の販売を禁止したが、観光客数が平年水準を回復するのに11カ月を要した」と指摘した。
■韓国の主力産業、影響受けず
しかし、専門家はTHAAD問題が株式市場全体を揺るがすほどの悪材料にはならないとみている。対中輸出の95%以上が完成品を生産するのに必要な部品である中間財や資本財だ。中国政府が韓国製品の輸入を制限する水準まで報復を強化すれば、中国国内での完成品メーカー、輸出企業が打撃を受けることは避けられない。このため、報復をエスカレートさせたり、範囲を広げたりするのは難しいのではないかという見方がある。また、韓国経済を支える主力産業であるIT、半導体、化学などにはTHAAD制裁がまだ飛び火していない。キウム証券のホン・チュンウク投資戦略チーム長は「主に中間財を輸出する台湾、日本にも中国が貿易制裁を加えている状況であり、中国が韓国製の中間財や資本財の輸入割合を急に減らすのは難しい状況だ。欧米の景気が回復しており、輸出企業の利益はさらに増えるとみられる」と分析した。
とはいえ、中国が今後予想外の経済制裁を加えてくる可能性があることは不安材料だ。また、米利上げ、韓国での大統領弾劾政局、韓国大統領選の繰り上げなど国内の政治不安も高まっており、専門家の多くは投資家に慎重な株式投資を求めている。