韓経:【時論】中国のTHAAD報復、うまく対応するには

韓経:【時論】中国のTHAAD報復、うまく対応するには

2017年03月07日14時43分
[ⓒ韓国経済新聞/中央日報日本語版]
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  韓国のTHAAD(高高度ミサイル防衛体系)配備決定に対する報復措置の一環として、中国政府が旅行会社に韓国観光商品販売中止措置を取った。中国人観光客が訪問しなくなれば年間100億ドル以上の観光収入が減ると予想される。これまで対応を自制してきた韓国政府は「国際規範に背く部分があるか綿密に調べ、必要な措置を検討する」と明らかにし、韓中自由貿易協定(FTA)を違反するかどうかを検討し、世界貿易機関(WTO)提訴など積極的に対応することを示唆した。THAAD報復が始まってからすでに数カ月も過ぎたが、今になって国際規範違反がないか検討するということなのか。

  これまで中国が取った報復措置にはすべて共通点がある。ロッテに対する税務調査は国内法上の租税主権行使であるため国際規範が適用されない。韓国産ポリオキシメチレン、光ファイバー、電磁鋼板などに対する全方位の反ダンピング調査は国際法上認められた貿易救済権限の行使であり、化粧品、洗浄便座、食品類に対する輸入不許可措置も衛生関連規制権限の行使だ。チャーター機運航不許可と「限韓令」による韓流の委縮は、中国がWTOおよび韓中FTAで開放していないサービス分野を意図的に選択して報復したものであり、協定違反が成立しない。

  韓国観光商品の販売中断措置も同じだ。WTO協定と韓中FTAの中国側サービス譲許表によると、中国は海外旅行斡旋サービスに対して「市場アクセス保障」と「非差別待遇」を約束した。市場アクセスを保障したというのは、旅行斡旋業者の数字を制限したり、これらの取引金額、営業回数、雇用人員、設立の法的形態、外資の出資比率などを制限しないという約束だ。中国が韓国観光商品販売を禁止するのは自国民の海外旅行客数を制限するものであり、旅行斡旋業者の数、取引金額、営業回数の制限ではない。しかも雇用人員数や法的設立形態、出資比率制限とも関係がない。中国人が設立した旅行会社であれ韓国人が設立した旅行会社であれ区別なく韓国旅行斡旋行為を同一に禁止するものであるため、国内と外国のサービス業者間の差別問題も発生しない。

  一言で中国は徹底的に国際規範に違反しない分野と限度で強度を高めて報復する戦略を駆使している。にもかかわらず政府が国際規範との合致性検討を云々するのはTHAAD報復の基本的性格に対する分析もできていないということだ。意図的に国際法違反を避けて報復を設計している中国側の関係者から笑い者にされるだけだ。

  中国が韓国に加えることができる貿易報復には限界がある。WTO協定や韓中FTAを明示的に違反しない範囲がそれだ。もし国連安全保障理事会の制裁決議を経て経済報復を加える場合や、核兵器のような大量破壊兵器に対する対応、または戦争のような国家危急事態に直面して取る措置ならこのような制限はないが、平時に取る一方的な貿易報復なら国際通商規範を違反できないということを認識する必要がある。

  したがって我々の対応ロードマップの方向は従来の国際規範の遵守を強調するのではなく、純粋な安保イシューを一方的な貿易報復で解決しようとする動きの危険性を国際的に浮き彫りにし、新しい国際規範を形成していくというものでなければいけない。各種多者会議チャンネルを通じてこうした報復措置の類型を「貿易関連非関税措置」と規定し、中国側にその背景と関連情報を提出することを要請するべきだ。一方的な便宜により通商問題を政治・安保問題と結びつける動きを抑制しようという国際的な共感を拡散していくことが求められる。そうしてこそ韓中FTAに立脚して、THAAD報復が両国の貿易に不必要な障害を招く非関税措置に該当するという主張(韓中FTA第2、12条)も可能になる。

  チェ・ウォンモク/梨花(イファ)女子大法学専門大学院教授
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