文氏陣営は中国がTHAAD配備に過敏な反応を示す理由について「配備が決定する過程で、中国は自分たちのメンツがつぶされたと考えているから」との見方を示した。これについて陣営の総括本部長を務める宋栄吉(ソン・ヨンギル)議員はあるラジオ番組に出演した際「習近平・国家主席は昨年6月に韓国の黄教安(ファン・ギョアン)首相(当時)と会った際、THAAD配備については明確に反対の意向を示したが、黄首相は帰国からわずか1週間後にTHAAD配備を決めた」と指摘した上で「中国としては完全に無視されたと感じたはずだ」と指摘した。そのため文氏陣営では「THAAD配備の再検討」と国会での批准、そして中国に理解を求めることで中国のメンツを立てられると考えているようだ。
文氏陣営の外交ブレーン「国民アグレマン」の鄭義溶(チョン・ウィヨン)団長は「外交的なマナーと礼儀を守って中国にも大義名分を与え、それから最終的な決定を下せばよい」と述べた。一方でTHAAD配備の根本的な理由となった北朝鮮の核問題について文氏は「制裁と同時に6カ国協議など交渉の場を改めて設け、THAAD配備の原因を取り除く計画だ」との考えを説明している。
ただ文氏の思惑通り「米中両国が韓国の立場に理解を示せば、外交的な孤立から脱却できる」との見方には「現実性に欠ける」との批判も相次いでいる。韓国安保問題研究所のキム・ヒサン理事長は「THAAD配備がすでに決まった状況で、米中両国を相手に再び外交面での説得を大義名分として時間稼ぎをすれば、米国からは完全に信頼を失い、中国からはさらに笑いものになるだろう」「次期政権はTHAADについてはむしろ断固たる態度を維持すべきだ」などと指摘した。その上でキム理事長は「今の状況で時間稼ぎや米中両国の顔色をうかがうことは、状況をさらに悪化させることにつながりかねない」との見方も示した。