韓国の最大野党「共に民主党」から大統領選挙への出馬が有力視される同党前代表の文在寅(ムン・ジェイン)氏は米国の最新鋭地上配備型迎撃システム「高高度防衛ミサイル(THAAD)」の韓国配備問題について、これまでは「外交的に解決し、安全保障と国益を同時に守る腹案がある」などと繰り返し説明してきたが、その具体的な内容については何も語っていない。これについて文氏は3日、共に民主党の大統領候補者らによる討論会で「戦略的あいまいさが必要とされる間は、そのあいまいさを維持しておく必要がある。それこそが外交だ」などと述べた。文氏陣営で外交・安全保障政策を担当する複数の関係者を取材したところ、その大まかな内容は「まずは配備を延期し、中国を説得してTHAAD配備を受け入れさせてから配備を行う」というもののようだ。
文氏は昨年7月、THAAD配備に関する自らの考えを初めて表明した際、賛成か反対かは明言せず「再検討」というあいまいな言葉でその場を切り抜けた。文氏は3日の討論会でも「THAADの全面的な再検討を行い、国内で世論をまとめて国会で批准し、中国や米国とは外交面で緊密に協議を行った上で合理的に解決する」と発言した。ただその一方で「韓米間ですでに合意がなされたという事実もあるため、これを一方的に破棄することは簡単ではない」とも述べた。これでは配備をするのかしないのかはっきりせず、また米中両国を説得して解決するつもりなのかも分からない。討論会終了後、文氏陣営に「説明は相変わらず抽象的であいまいだった」と指摘したところ「当選後に使うカードを今から出すわけにはいかない」と反論した。