このところ北部シリアのmanbij をめぐる動きが、注目を浴びてきましたが、7日付のal jazeera net は、manbij が今後のシリア内戦の動向を握るカギで、シリア政府軍とＹＰＧにより、そこをさえられたトルコと自由シリア軍は、この後ラッカに至ることは困難で、ラッカ攻略は、ＹＰＧとシリア政府軍という米ロのそれぞれの「代理人」の戦闘となり、シリアにおけるロシアと米国の協力の具体化、ということになろうとの解説記事を載せています。
今後の動きについては、果たしてそのようになるか否かの問題はあるも、最近のmanbij をめぐる動きを要領よくまとめた記事かと思うので、記事の要点のみ次の通り、ご参考まで。

「manbij は最近、再びシリアをめぐる各種勢力の争いの焦点となった。
ユーフラティス川 から西へ80�劼瞭瓜圓蓮�内戦以来たびたびその主人を変えてきた。
2012年に自由シリア軍が政府軍から奪取したが、2014年にはＩＳが奪取し、2年後には有志連合の支援を受けたＹＰＧに占拠された。

2016年にはトルコ軍が自由シリア軍を支援して、シリアに介入し、jarablus からiazazまでの国境地帯の100�劼鮴蟲鬚靴燭�、この地域はトルコが要求していた安全地帯の場所である。
これによって、とるこはＫＰＰのシリア支部であるＹＰＧがトルコとの国境に沿う一帯を支配し、将来の独立を目指すクルド自治区の設立を阻止したことになった。

さらに、manbijがその作戦の目標達成を邪魔すると考えたトルコは、米の支持も得て、manbij からＹＰＧがユーフラティスの東岸へ撤退することを要求した。
ここで、manbij ではＹＰＧの支援を受けたとされるmanbij 軍事評議会なるものが出現してくる。しかし、その実態はといえば、その兵力の大部分はＹＰＧであって、この評議会はその傘みたいなものであった。
トルコはあくまでもＹＰＧの撤収を要求し、ここにトルコ対トルコ（ＹＰＧの親組織であるＰＫＫ）の衝突の可能性が大きくなってきた。

ここでシリア政府軍が大きく登場してきて、政府軍はmanbij の西を急進撃し、４0の村落を占拠し、８00平方ｋｍの地帯を支配し、ＹＰＧと接触することとなった。
これに対して軍事評議会は、manbij を政府軍に引き渡すと声明し、トルコ軍とＹＰＧの間に位置する政府軍が、ＹＰＧに対する壁の役割を果たすこととなった。

そこでもトルコは、manbij 進撃の構えを崩さずに、そのままで行けばＹＰＧとの衝突にとどまらず、その後ろにいる米軍とロシア軍（米軍は少数の特殊部隊のようであるが、ロシア部隊のほうは実態は不明。米兵と同じようなものか？）との衝突の可能性が出てきた。
また政府軍の進出は、最終的に自由シリア軍が、ラッカ作戦に参加することを阻止する意味があり、ここにラッカ作戦はロシアと米の協力で、クルド勢力と政府軍が行うこととなったといえる。
自由シリア軍がal bab の制圧に努力している間に、後から参戦してきた政府軍はそれを迂回して、manbij まで到達したが、このためそこから政府軍支配地域を通ってラッカまでの攻略路を確保できたことになる。

その意味ではトルコの「ユーフラティスの盾」は最重要目標の奪取に失敗し、成功しなかったということになろう。

このためトルコ政府も「現地の現実の事情」を認め、トルコ首相が、シリアの領土はシリアのもので、トルコは領土的野心は有していないと表明し、シリア政府軍のmanbij 支配を認める意向を示した
これは、ＹＰＧというＰＫＫの支部の支配よりは、政府軍の支配のほうが、まだましであるというトルコの計算に基づくものであろう。

自由シリア軍のラッカ作戦が困難になったことにより、同作戦にはロシアと米国の支援する政府軍とＹＰＧが参加することになろうが、これら両大国のシリアでの協力を意味するものである。
http://www.aljazeera.net/news/reportsandinterviews/2017/3/6/منبج-عقدة-الحل-أم-بوابة-المواجهة