Financial Times

フォローする

Myニュース

有料会員の方のみご利用になれます。
気になる連載・コラムをフォローすれば、
「Myニュース」でまとめよみができます。

[FT]トランプ氏は「オバマ氏が盗聴」の根拠を示せ(社説)

2017/3/7 14:40
保存
印刷
その他

Financial Times

 トランプ米大統領は、大統領選の期間中にオバマ前大統領に電話を盗聴されたと主張し、米国の政府を危機に陥れた。早朝にツイッターに書き込んだことであろうと、たわごとをツイッターに書き込んだ前歴があろうと、事態の重大さにまったく違いは生じない。昨年11月の大統領選で数百万人が不正に投票したというトランプ氏の虚偽の主張も、在任中の大統領に直接向けられたものではなかった。ただちに、オバマ氏に対する非難の情報源と証拠が示されなければならない。そうでなければ、この主張は、それなしには国が立ち行かない行政機構の信頼を損なうだけだ。

ホワイトハウスはオバマ前政権による調査権限の乱用がなかったか調べるよう米議会に求める声明を発表した(AP=共同)
画像の拡大

ホワイトハウスはオバマ前政権による調査権限の乱用がなかったか調べるよう米議会に求める声明を発表した(AP=共同)

 トランプ氏の広報官らの対応が状況をさらに不透明にしているため、なおさら急を要する事態となっている。広報官らは、トランプ氏の言い分は広く報じられた話に基づいているとしている。問題は、その報じられた話がトランプ氏の主張の裏付けにならないことだ。

 報道内容は、米国の捜査機関と情報機関がロシアとトランプ陣営のつながりを調べていたということだ。米ニューヨーク・タイムズ紙は匿名の関係筋による情報として、その捜査中に電話盗聴で得られた情報がホワイトハウスに上げられていたと報じた。米ニュースサイトのヒートストリートとブライトバートは、米連邦捜査局(FBI)あるいはより広く「オバマ政権」が、トランプ陣営のメンバーについて捜査するために外国情報監視法(FISA)に基づく令状の発行を請求して認められたと伝えている。

 たとえそのような令状の請求があったとしても、トランプ氏の言い分とは現実的にも政治的、道義的にも雲泥の差があるという事実は変わらない。令状が正当に発行されていたのなら、トランプ氏の主張は見境のない中傷だ。オバマ氏が司法省の捜査に介入した、あるいは米国市民に対する違法な電話盗聴を命じたという証拠を持っているのなら、トランプ氏はただちにそう言わなければならない。当該の情報が機密指定されていても、トランプ氏には機密解除の権限がある。

■令状の有無をはっきりさせよ

 トランプ氏がその種のことを何も言っていないのは、自発的な発言はないであろうことを示唆する。この危険な不透明状態の解消は他の高官にかかっている。先頭に立ったのは2人だ。コミーFBI長官は、司法省がトランプ氏の訴えを却下するよう求めた。前政権の国家情報長官だったジェームズ・クラッパー氏は、自分の監督下でトランプ陣営のメンバーに対する電話盗聴は行われていないと公言した。司法省は前に出なければならない。確かに、正当な捜査に支障が出る恐れはある。だが、問題を放置すれば甚大な悪影響が生じる。たとえ大きな代償が伴おうとも、令状をめぐる問題は速やかにけりを付けなければならない。

 トランプ政権は、この問題は議会の情報委員会によって解決されるべきだと主張している。トランプ氏が言い分の根拠を示した場合には、トランプ陣営とロシア情報当局者のつながりについても調べる委員会が、このもつれた問題の究明にあたるべきだろう。

 トランプ氏の言い分は、情報機関や国務省、他の官庁の大部分に至るまで、同氏が軍以外の政府機関と多かれ少なかれ公然と対立していることを示す最も極端な証拠だ。協力を必要とする形に設計された政府機構が、このような状況の下で機能しうるのかはわからない。ホワイトハウスが根拠のない非難で対立を深めるなら、きしみに耐えきれなくなるかもしれない。

(2017年3月7日付 英フィナンシャル・タイムズ紙 https://www.ft.com/)

(c) The Financial Times Limited 2017. All Rights Reserved. The Nikkei Inc. is solely responsible for providing this translated content and The Financial Times Limited does not accept any liability for the accuracy or quality of the translation.


人気記事をまとめてチェック

「ビジネスリーダー」の週刊メールマガジン無料配信中
「ビジネスリーダー」のツイッターアカウントを開設しました。
GlobalEnglish日経版

GlobalEnglish 日経版

世界を目指す、全てのビジネスパーソンに。 ビジネス英語をレベルごとに学べるオンライン学習プログラム。日経新聞と英FT紙の最新の記事を教材に活用、時事英語もバランス良く学べます。

詳しくはこちらから

Financial TimesをMyニュースでまとめ読み
フォローする

Myニュース

有料会員の方のみご利用になれます。
気になる連載・コラムをフォローすれば、
「Myニュース」でまとめよみができます。

保存
印刷
その他

電子版トップビジネスリーダートップ

【PR】

Financial Times 一覧

フォローする

Myニュース

有料会員の方のみご利用になれます。
気になる連載・コラムをフォローすれば、
「Myニュース」でまとめよみができます。

ホワイトハウスはオバマ前政権による調査権限の乱用がなかったか調べるよう米議会に求める声明を発表した(AP=共同)

AP

[FT]トランプ氏は「オバマ氏が盗聴」の根拠を示せ(社説)

 トランプ米大統領は、大統領選の期間中にオバマ前大統領に電話を盗聴されたと主張し、米国の政府を危機に陥れた。早朝にツイッターに書き込んだことであろうと、たわごとをツイッターに書き込んだ前歴があろうと、…続き (3/7)

人間の思考を読み取るにはまだ写真のような頭部装着型の脳波計キャップをかぶる必要がある=ロイター

ロイター

[FT]MITが人間の思考を読み取るロボットを開発

 米国の研究者が思考を読み取る装置を開発して、人間からロボットへのテレパシーでの意思疎通に一歩近づいた。この装置を使えば、人間が脳波だけで即時にマシン(ロボット)の誤りを是正することが可能だ。
 マサチ…続き (3/7)

大統領選に向け、新たな活動を立ち上げたマクロン氏。もし39歳の同氏が大統領になれば、ナポレオン以来最も若いフランスの指導者となる=ロイター

ロイター

[FT]「懐古趣味」に対抗する若き欧州政治家

 最近では、票を勝ち取る一番簡単な方法は「過去を売り込む」ことだ。本紙フィナンシャル・タイムズ(FT)の同僚ギデオン・ラックマンが書いているように、ブレグジット(英国の欧州連合=EU=離脱)の「支配権…続き (3/7)

新着記事一覧

最近の記事

【PR】

今週の予定 (日付クリックでスケジュール表示)

<3/6の予定>
  • 【国内】
  • 2月の輸入車販売(輸入組合、10:30)
  • 3月のQUICK株式月次調査(11:00)
  • 2月の車名別新車販売(自販連、11:00)
  • 2月の通称名別軽自動車販売(全軽協、11:00)
  • 榊原経団連会長の会見(15:30)
  • 【海外】
  • 1月の豪小売売上高(9:30)
  • 1月の米製造業受注(7日0:00)
  • (注)時間は日本時間

〔日経QUICKニュース(NQN)〕

<3/7の予定>
  • 【国内】
  • 閣議
  • 30年物国債の入札(財務省、10:30)
  • 政策評価懇談会(財務省、15:00)
  • 東証マザーズ上場=ロコンド
  • 【海外】
  • 1月の米製造業受注(0:00)
  • 豪中銀理事会の結果発表(12:30)
  • 2月のフィリピン消費者物価指数(CPI)
  • 経済協力開発機構(OECD)経済見通し
  • 16年10~12月期のブラジル国内総生産(GDP)
  • 1月の米貿易収支(22:30)
  • 1月の米消費者信用残高(8日5:00)
  • (注)時間は日本時間

〔日経QUICKニュース(NQN)〕

<3/8の予定>
  • 【国内】
  • 対外・対内証券売買契約(月間、財務省、8:50)
  • 2月上中旬の貿易統計(財務省、8:50)
  • 1月の国際収支(財務省、8:50)
  • 16年10~12月期の国内総生産(GDP)改定値(内閣府、8:50)
  • 2月の貸出・預金動向(日銀、8:50)
  • 6カ月物国庫短期証券の入札(財務省、10:20)
  • 2月の企業倒産(民間調査会社、13:30)
  • 1月の景気動向指数速報(内閣府、14:00)
  • 2月の景気ウオッチャー調査(内閣府、15:00)
  • 【海外】
  • 1月の米消費者信用残高(5:00)
  • 2月の中国貿易統計
  • ポーランド中銀が政策金利発表
  • 2月のオートマチック・データ・プロセッシング(ADP)全米雇用リポート(22:15)
  • 10~12月期の米労働生産性指数(改定値、22:30)
  • 1月の米卸売在庫(9日0:00)
  • 1月の米卸売売上高(9日0:00)
  • 米エネルギー省の石油在庫統計(週間、9日0:30)
  • (注)時間は日本時間

〔日経QUICKニュース(NQN)〕

<3/9の予定>
  • 対外・対内証券売買契約(週間、財務省、8:50)
  • 2月のマネーストック(日銀、8:50)
  • 1月の毎月勤労統計速報(厚労省、9:00)
  • 3カ月物国庫短期証券の入札(財務省、10:20)
  • 5年物国債の入札(財務省、10:30)
  • 1月の消費活動指数(日銀、14:00)
  • 2月末の東京都心オフィス空室率(三鬼商事)
  • マザーズ上場=ピーバンドットコム
  • 2月の中国消費者物価指数(CPI、10:30)
  • 2月の中国工業生産者出荷価格指数(PPI、10:30)
  • 欧州中央銀行(ECB)理事会の結果発表(21:45)
  • ドラギECB総裁が記者会見(22:30)
  • EU首脳会議(10日まで)
  • 米新規失業保険申請件数(週間、22:30)
  • 2月の米輸出入物価指数(22:30)
  • 30年物国債(銘柄統合)入札
  • (注)時間は日本時間

〔日経QUICKニュース(NQN)〕

<3/10の予定>
  • 閣議
  • 1~3月期の法人企業景気予測調査(内閣府、8:50)
  • 1月の特定サービス産業動態統計(経産省、13:30)
  • 株価指数先物・オプション3月物の特別清算指数(SQ)算出
  • 2月の米雇用統計(22:30)
  • 2月の米財政収支(11日4:00)
  • (注)時間は日本時間

〔日経QUICKニュース(NQN)〕

[PR]