「ノッてる!ガールズ」のとっておき愛媛女子旅<1>「しまなみ以外」の魅力に迫る 輪行ビギナーにも優しい松山空港からいざ出発
サイクリストの憧れの地、「しまなみ海道」を有する愛媛県。しかし、「愛媛の魅力はしまなみだけじゃない!」という地元の自転車好き女子ユニット「ノッてる!ガールズEHIME」から、ディープな愛媛サイクリングと温泉を組み合わせた「自転車女子旅」を考案したという連絡が入った。あるようでなかった女子が考える自転車旅。その楽しさを検証すべく、『Cyclist』の女性編集部員が自転車を抱えて松山空港にひとっ飛びした。
「女子が考えてこその女子旅」
しまなみ海道と日本最古の温泉「道後温泉」を有する愛媛県では、“湯めぐりサイクル”と称して「自転車×温泉」の旅を紹介するウェブサイト「ゆックル」を立ち上げるなど、新しいスタイルの自転車観光を提案している。
その観光事業の一環として発足したのが今回の女子旅プロジェクトだ。女性サイクリストの集客を図る県が「女子が走って楽しい旅は女子でないと考えられない」と立ち上がり、地元のグルメや穴場コースを知り尽くした「ノッてる!ガールズEHIME」の協力で「サイクリング」「温泉」「体験」の3要素を盛り込んだ1泊“女子旅”を作ることを考案。加藤涼子さんと芳ノ内奈央さんが提案した「内子(うちこ)町を巡るサイクリング」をモデルコースとして実現することになった。
内子町は松山市から南へ車で約30分の山間の町。歴史ある街並みが有名なエリアで、今回初めて訪れる記者にとっても期待が高まる。もっとも、具体的なツアー内容は「来てからのお楽しみ」とのことで、ほぼ事前情報なしで松山空港に下り立った。
至れり尽くせりの松山空港
空港到着後、早速旅に向けてサイクリストに変身。ここでは着替えをするためにトイレを探すなんて必要はない。日本一“サイクリストウェルカム”な空港といわれている同空港では、サイクリスト用の更衣室が完備されている。空港内の案内板では四国巡礼をする「お遍路さん」の更衣室と同等に紹介されていて、ちょっぴりうれしい。
さらに空港のインフォメーションセンターでは工具セットの貸し出しを行っていて、受付で名前と連絡先等を告げれば無料で借りられる。
更衣室で着替えを済ませたら、次は自転車を組み立てる。空港外の片隅で通行人の迷惑にならないように…という遠慮もここでは不要。バイクラックが設けられた「サイクルステーション」に、自転車の組み立て場所が確保されている。空気を抜いて航空輪行したタイヤ用に空気入れも完備され、心憎い配慮がなされている。
さらには、航空輪行に使った収納ケースを無料で一時預かりするサービスも提供している。
こちらもインフォメーションで名前・連絡先を明記するだけで預けられる。工具セットの返却とともに収納ケースも預けて、即身軽に。自転車を取り出した後の収納ケースのやり場に四苦八苦していたサイクリストには、これまた助かるサービスだ。
レンタカーの併用で広がる行動範囲
松山空港付近のレンタカー店には自転車積載に配慮した「サイクリストプラン」を提供する店もあり、今回はそれを利用して内子町へと向かうという。ちなみに松山空港から内子町までは約40km。「地元の人たちは内子町まで自走することもあるけれど、限られた時間で移動したり、走力に関係なく行動範囲を広げられるという点でレンタカーは1つの方法ですよね」と加藤さん。なるほど、自転車旅でもクルマという選択肢を設ける発想の柔軟さが女性らしい視点かもしれない。
向かった先は「バジェットレンタカー松山空港店」。サイクリストプランは同店限定のサービスで、1300ccで2人乗車、自転車は2台積載可能だ。
後部座席部分に自転車のフォーク部分を固定する器具が設置されており、揺れなどによる衝撃も心配せずに運搬できる。
「大人な宿」にテンションアップ!
空港から南へクルマで移動すること約30分。山間の道を走り、到着したのは「オーベルジュ内子」。今回の自転車旅の拠点となる宿だ。町の小高い丘の上に、四季折々の木々に囲まれた静かな佇いは、まさに‟上質な大人の隠れ家”といった様子。木造の館内に足を踏み入れると、ふわっと漂う檜の香。ところどころに施された和紙を通る優しい陽の光に、心が落ち着く。
受付を済ますと、案内されたのは一棟のヴィラ。実はここ、敷地内に3人まで宿泊可能な5棟のヴィラがあるのみで、宿泊者は1日最大でも15人限定という、なんともラグジュアリーな宿。女子の間でも話題になっている温泉付きのオーベルジュだそうで、さすがは感度良好な女子のチョイスだ。
室内には時計やテレビなどは一切なく、あるのは居心地の良い空間と静かな時間。窓一面に眺める木々のほとんどが桜で、春には予約が困難になるほどの人気ぶりというのも頷ける。
「彼氏と来たかった~」などと言いつつ、こういう贅沢な宿は実は女友達同士の方が思い切り楽しめるもの。お約束の‟ふかふかベッドダイブ”やアメニティグッズのチェック、見慣れない暖炉に興味を示すなどちょこまかと動きつつ、テンションも急上昇。
居心地の良さに危うく旅の目的を見失いそうになるも、そこは「ノッてるガールズ」。いかなるときも自転車を忘れない。宿に荷物を下ろし、準備が整ったところでいよいよサイクリングに出発!
「内子町はすごく素敵なところ。期待して着いてきてね♪」という2人につられて、「ノッてるガールズ」お決まりのポーズではしゃぐ筆者。どんな旅が待ち受けているのか、見知らぬ町を走るワクワク感に心を躍らせ、ペダルを漕ぎ出した。
<次回へ続く>