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男性の性暴力被害、認識を=「信じてもらえず」―刑法改正案、閣議決定

時事通信 3/7(火) 15:02配信

 閣議決定された刑法改正案には、女性だけでなく、男性も性暴力被害の対象とする内容が盛り込まれた。

 法改正を求めてきた支援団体からは歓迎の声が上がる一方、周囲の無理解に苦しんできた被害者の男性は「法改正だけでは何も解決しない」と訴えた。

 関東地方に住む男性(37)は、小学生のころからいじめを受け、中学に入るとエスカレートした。裸にされ、刃物を性器に突き付けられる。「早く射精しないと切り落とす」と笑いながら脅された。

 中学1年の夏、いじめグループの中心だった中3の先輩から部室に呼び出され、初めて性暴力の被害を受けた。「人に言っても誰も信じないし、もっとひどい目に遭わせるからな」。口止めされ、言いようのない恥ずかしさと心の痛みを感じた。

 性暴力は先輩が卒業するまで続いたが、家庭や学校に相談できる相手はいなかった。成人してから、心療内科やカウンセラーを訪ね歩いたが、誰も助けにはならなかったという。「男性のレイプ被害なんて」「女性ならともかく男性なんだし」。軽く扱われ、無理解に傷ついた。

 男性は「信じてもらえず、苦しんだ」と振り返る。「法改正しても、相談を受けた警察官や医師、支援団体のスタッフがきちんと対応しなければ、結局は何も変わらない」と語気を強めた。

 性犯罪被害者の支援団体で代表を務める辻雄作さんは「男性の場合、性犯罪に遭った自覚がなかったり、自覚しても相談できなかったりする人が多い」と話す。法改正で、男女を問わず性犯罪の被害者になり得るという意識の広がりに期待を寄せた。 

最終更新:3/7(火) 23:29

時事通信

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