2016年あたりからロボアドバイザー投資に関する話題が多いですね。
私も実際に楽天証券の楽ラップを昨年から今年にかけて半年間利用してみましたが、ロボアドバイザー投資サービスについて改めて各社の状況や長所・短所について比較検討してまとめてみました。
その結果、有名なウェルスナビやお金のデザイン社のTHEO以外にも優れているロボアドバイザーサービスを発見できました。
お金のデザイン きんざい 2016-11-01
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それでは各サービスの特徴について見ていきましょう。
- WEALTHNAVI(ウェルスナビ)
- お金のデザイン社のTHEO(テオ)
- 楽天証券の楽ラップ
- マネックス証券のマネラップ
- 松井証券の投信工房
- エイト証券のクロエと8now
- ロボアドバイザー各社比較結果まとめ
WEALTHNAVI(ウェルスナビ)
ウェルスナビはロボアドバイザー投資分野において、日本では後述するお金のデザイン社とならんで最も有名なサービスの1つです。
投資対象
アメリカのニューヨーク証券取引所に上場しているETFが投資対象です。
投資するETFは株式から債券、金、不動産REITまで幅広く投資され、株式は先進国から新興国株も含めて行われます。
手数料
資産運用額に対して年率1%の手数料がかかります。
因みに年率1%というのが、現状ロボアドバイザーサービスの手数料としては標準になっています。
資産運用額が3000万円以上の資産については、年率0.5%に下がります。
ロボアドバイザーの場合、自動でリバランスといって、保有している資産(ETF)の分野を調整するために割合が想定より大きくなったETFを売却して、新たに別の資産を買い入れることがあります。
この時ETFの売買に伴う手数料が発生しているはずですが、この売買手数料は我々顧客には直接請求されません。
また、ウェルスナビは最初に紹介したようにニューヨーク証券取引所に上場しているETFを売買するわけですが、これらは米ドルで売買する必要があります。
個人でネット証券を利用してニューヨーク証券取引所に上場しているETFを購入する場合は事前に日本円を米ドルに両替する必要があります。
そして両替する際は、為替手数料又は為替スプレッドによる実質的な手数料が発生しますが、ウェルスナビは公式サイト上では0円を謳っています。
為替手数料を0円と表記するのはFX会社や証券会社はじめよくあることで、実際には為替スプレッドによって手数料収入を得ているわけですが、為替スプレッドすら0円というのが可能なのか少々疑問です。
税金と確定申告について
ウェルスナビは特定口座に対応しているので、確定申告は基本的には必要ありません。
しかし、ウェルスナビは海外のETFに投資しているためその配当は米国内で租税条約に基づいた税率で源泉徴収されており、差し引かれた金額に対して日本国内で課税されています。
この二重課税を調整するための外国税額控除を適用されたい場合は確定申告が必要となります。
長所
積立投資が可能
現状他のロボアドバイザーでは積立投資できるところは殆どありません。
毎月の積立金額は1万円から可能になっていて、所定の銀行口座から自動で引き落としされて、ロボアドバイザーの判断でETFに投資されます。
分配金は再投資
ETFの分配金は自動で再投資されるため、無駄のない複利運用が可能です。
税金の最適化
これもウェルスナビの特徴の1つですが、DeTAXと呼ばれる自動税金最適化機能を持っています。
これは、ロボアドバイザーがリバランスによる実現益や配当収益を、含み損を実現させることにより自動的に繰り延べることで余計な税金の支払いを行わないということです。
短所
短所はなんといっても、口座開設後に資産運用を開始するうえで100万円の入金が必要という点です。
資産運用のために100万円を最初に用意するのは若い人にとっては中々ハードルが高いと思います。
逆にある程度の資産がすでにある方にとっては問題とはならないでしょう。
30万円から利用可能な方法もある
100万円を用意できないけど、ウェルスナビを使ってみたいという方は、SBI証券か住信SBIネット銀行の口座を開設していれば30万円から利用可能になりました。
お金のデザイン社のTHEO(テオ)
投資対象
投資対象はウェルスナビ同様に海外のETFです。
ウェルスナビと比較して、テオの方がより幅広いETFに投資する可能性があります。
具体的には、新興国債券やハイイールド債権、コモディティなどの分野についてもテオは投資する可能性があります。
手数料
手数料も基本的にはウェルスナビと同様です。
資産運用額に対して年率1%の手数料となっていて、3000万円を超えた資産運用額については年率0.5%に割引されるのも同様ですし、ETFの売買に伴う手数料が0円なのも同様です。
違いとしては為替手数料は0円と明記されていますが、為替スプレッドについては触れられていない点です。
このことから為替スプレッドについては通常の市場取引同様に存在しているのだと思います。
これは普通ですが、ウェルスナビの為替スプレッド0円がより一層気になるところでもあります。
長所
ウェルスナビは口座開設後に100万円の入金が必要でしたが、テオは10万円から始めることが出来ます。
短所
積立投資が出来ません。
楽天証券の楽ラップ
投資対象
楽ラップの投資対象はウェルスナビやテオとは異なり投資信託になっています。
といっても、投資信託の中身が海外ETFだったりするのでそこまで気にする必要はないでしょう。
ポートフォリオは質問に答える回答によってそれぞれ異なりますが、株式から債券、不動産投資信託(REIT)の投資信託で構成されます。
投資信託は基本的にはインデックス型の投資信託になっているので低い手数料になっています。
株式については、日本株、先進国株、新興国株それぞれの投資信託を用いて運用されます。
債権は先進国、新興国それぞれの投資信託を用いて運用されます。
不動産REITについては、日本国内と先進国それぞれの投資信託を用いて運用され、新興国のREITはありません。
手数料
楽ラップの手数料は固定報酬型と成功報酬型と大きく2つに分かれています。
固定報酬型
固定報酬型の手数料は、投資顧問料と運用管理手数料に投資信託の信託報酬などで構成されます。
投資顧問料と運用管理手数料は運用資産額に応じて下記のようになっています。
運用資産の時価評価額 固定報酬率(税込・年率) 投資顧問料 運用管理手数料 合計 1,000万円以下の部分 0.162% 0.540% 0.702% 1,000万円超5,000万円以下の部分 0.486% 0.648% 5,000万円超1億円以下の部分 0.432% 0.594% 1億円超の部分 0.378% 0.540%
手数料全体としては、資産運用額の年率大体1%ぐらいといったところになります。
成功報酬型
成功報酬型の手数料は固定報酬型の手数料に成功報酬が加算される構成となっています。
これだけだと固定報酬型の方が良いイメージを持つと思いますが、投資顧問料は固定報酬型に比べてなぜか3分の1になっています。
ロボアドバイザーなのに投資顧問料が違うというのはなぜでしょう?
論理的には説明がつかなくて、会社側の戦略のようにみえます。
運用資産の時価評価額 固定報酬率(税込・年率) 投資顧問料 運用管理手数料 合計 1,000万円以下の部分 0.054% 0.540% 0.594% 1,000万円超5,000万円以下の部分 0.486% 0.540% 5,000万円超1億円以下の部分 0.432% 0.486% 1億円超の部分 0.378% 0.432%
成功報酬については、運用益の5.4%が手数料となります。
従って10万円を運用して、1万円の利益があった場合の成功報酬手数料は540円となります。
固定報酬型と成功報酬型の比較
尚、このようなケースで固定報酬型と成功報酬型の手数料を比較すると
固定報酬型では772円、成功報酬型では1193円の手数料が発生します。
逆に1万円の損失があった場合の手数料はどうなるでしょうか?
この場合固定報酬型だと約631円、成功報酬型だと約535円となって成功報酬型の方が手数料は安くなります。
要は運用していて損失があった時は成功報酬型の方が手数料は安くなり、運用益があった時には固定報酬型の方が手数料は安くなります。
ただ、固定報酬型と成功報酬型の固定報酬率にはそれほど差がないことから、固定報酬型を選択するのが賢明だと思います。
長所
10万円から始められることが長所です。
また、楽天証券に既に口座を開設済みの人であれば直ぐに始めることが出来ます。
短所
正直ロボアドバイザーという感じがしません。
実際に半年間楽ラップで運用しましたが、リバランスは行われていませんでした。
マネックス証券のマネラップ
投資対象
公式ホームページ上だけでは確認が出来ませんでした。
マネックス・セゾン・バンガード投資顧問が運用を行うことから低コストETFで世界的に有名なバンガード社のETFで運用されるものと思われます。
ただ、正直セゾン投信で運用するのと何が違うの?という感じになります。
手数料
資産運用額に対して年率約1%です。
具体的には、純資産総額に対して年率0.825%(税込0.891%)を乗じた額の信託報酬がかかります。加えて、投資信託が投資対象とする投資信託証券の純資産総額に対して年率0.1%(概算)程度を乗じた額の運用管理費用及びその他費用がかかります。
長所
1万円から利用できます。
テオや楽ラップでは最低投資金額が10万円だったので、更に少額から初めてみたいという人にとっては利用し易いですね。
積立投資が可能です。
但し、ウェルスナビのように銀行口座からの自動引落が行われるのではなく、予め入金した金額を月々設定した金額を投資していく形になるので、入金し忘れたりすると積立投資が止まってしまいます。
これならば、セゾン投信を使って積立投資した方がいいと思います。
短所
特定口座に対応していないため、確定申告が基本的には必要となります。
これは国内の、それも証券会社が提供するサービスとしては致命的な欠点です。
松井証券の投信工房
投資対象
松井証券のロボアドバイザー「投信工房」の投資対象は楽ラップ同様に投資信託です。
投資信託の種類を見てみると楽ラップ同様のたわらノーロードもありますが、eMAXISやi-mizuhoなど他の低コストインデックスファンドも用いています。
ポートフォリオも、株式だけでなく、債権でも新興国への投資が可能になっているなど楽ラップに比べて幅広いです。
手数料
手数料はなんと、投資して保有する投資信託の信託報酬のみ!
これまで紹介してきたロボアドバイザーでは投資顧問料などが発生していましたが、松井証券のロボアドバイザーである投信工房にはそういった手数料がありません。
正直、松井証券は個人投資家でデイトレーダーがよく利用するイメージがあるので、ロボアドバイザーでこんな魅力的なサービスになっているとはかなり驚きです。
長所
先に紹介した手数料が他のロボアドバイザーサービスに比べて低いです。
そして、積立投資も可能で、積立額も500円から可能というこれまた他のロボアドバイザーよりも遥かに優れています。
積立自体もよくある1月に一回だけでなく、毎週、毎日積立することも可能になっているのが素晴らしいです。
初期投資額も1万円から始められるので敷居も低いです。
短所
他のロボアドバイザーとは異なり、リバランスは完全に自動化されていません。
そのため、ロボットによる完全自動運用をしたい方はウェルスナビを選択した方がいいかもしれません。
どちらかというと、ロボットからのポートフォリオ提案に基いて自ら発注ボタンを押すという感じです。
但し、リバランス発注もボタン1つで出来るようになっているので手間はそれほどありません。
エイト証券のクロエと8now
エイト証券(旧ユナイテッドワールド証券)は現在2つのロボアドバイザーサービスを展開している珍しい証券会社です。
最初に始めたのが8nowと呼ばれるロボアドバイザーサービスで、最近クロエというロボアドバイザーも開始しています。
投資対象
8nowとクロエは投資対象が異なります。
8nowは、ウェルスナビやテオのようにアメリカの証券取引所に上場するETFに投資します。それに対して、最近はじまったクロエは、東京証券取引所に上場する数銘柄のETFに投資するロボアドバイザーとなっています。
手数料
8now、クロエともに資産評価額に対して年率で0.95%(税込み)の手数料がかかります。
リバランスのためにETFを売却したり、買い付けされますが、その際の売買手数料は徴収されません。
長所
8now、クロエともに1万円から始めることができます。
8nowは年に最低2回は自動的にリバランスが行われます。
短所
クロエはスマートフォンアプリを使って、全て操作を行うことになるのでスマホを持っていない人は利用出来ません。
また、スマホのアプリも現状使い勝手が良いとは正直いえないです。
ロボアドバイザー各社比較結果まとめ
ここまでネット証券やネット上で専業で行っているロボアドバイザーサービスの特徴について紹介してきました。
それら各サービスの特徴をまとめたのが下記表になります。
サービス名 | 初回最低入金額 | 積立投資の可否 | 手数料 | 特定口座の対応 |
ウェルスナビ |
100万円 (*30万円) |
可能 | 1% | 対応 |
テオ | 10万円 | 不可 | 1% | 対応 |
楽ラップ | 10万円 | 不可 | 約1% | 対応 |
マネラップ | 1万円 | 可能 | 約1% | 非対応 |
投信工房 | 1万円 | 可能 | 約0.5% | 対応 |
クロエ,8now | 1万円 | 不可 | 約1% | 非対応 |
*SBI証券、住信SBIネット銀行経由で利用した場合
どこでロボアドバイザーを行うべきか
良い資産運用をする上で、積立投資ができるかどうかは重要です。
また、特定口座が利用できないと税金の計算が面倒になるので利用したくはありません。
そして、当然手数料は低いにこしたことはありません。
それらを勘定すると、これらロボアドバイザーサービスの中で僕が選ぶとしたらウェルスナビか松井証券の投信工房のどちらかです。