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【暮らし】<ストップ プール事故>「飛び込み禁止 どうなのか」 鈴木大地・スポーツ庁長官
水深の浅い学校プールに飛び込んだ子どもが首を骨折するなど重傷事故が多発している問題で、スポーツ庁の鈴木大地長官が本紙の取材に応じた。一九八八年のソウル五輪競泳背泳ぎ金メダリストの鈴木長官は、「なんでもかんでも禁止はどうなのか」と、高校の授業での飛び込みスタート禁止には疑問を呈し、プールの環境整備に取り組む姿勢を示した。 (細川暁子) −都立高校で昨年七月、授業中に水深一・一メートルのプールに飛び込んだ男子生徒が首を骨折した。十一月の衆院文部科学委員会で松野博一文科相は、高校授業での飛び込みスタート禁止を視野に入れる考えを示したが、長官の考えは。 水深が三メートルあれば、まったく事故にはならないだろう。だが維持費や建設費の問題もあり、水深が浅く、小さな子も使えるようにと、プールの構造上の問題があったと思う。 飛び込みという行為は楽しみでもある。飛び込みを思い切りできる環境や指導者の資質整備が大事。一メートルのプールでも飛び込みの練習はできる。指導法が問題で、質の高い教員を採用することが大切。スタート台からは技術を要するので、最初は水面に近いところから段差がない形で飛び込みをする。なんでもかんでも危険だからと全面禁止し、もやしっ子を育てあげていくのはどうかなと思う。 −授業での飛び込みスタートは小中学校では禁止されているが、高校では認められている。高校の学習指導要領を改定する予定は。 今の時点で断言はしない。全国の学校プールの水深などを教育委員会に聞き取って、対策を模索していく。 −授業で飛び込みスタートを禁止しても、大会に出るための部活の練習はどうするかという問題が残るが。 昭和四十年代に造られた学校プールの建て替えが議論となっている。六、七、八月しか使わないのに一校に一つプールは必要ない。地域の温水プールを学校の練習でも使うなど、環境整備に取り組みたい。 水泳はできないと、いざというとき生命の危険にさらされる。「水辺は怖いから近づかない」「飛び込みは危ないから全面禁止」では、もやしっ子を育てることになる。危険を模索し、回避しながら臨機応変に対処し生きていくための授業であり部活であり、スポーツ活動だ。水深に応じた指導法があるので、十分に注意は必要。 −長官の経験から飛び込みスタートの技術習得は難しいか。 児童期は体が成長するし頻繁にやっていないと、一年に一回ちょっとだけでは危険なことは避けた方がいいかと思う。難しいが全面禁止ではなく、段階を踏んでの指導が重要。 ◆重傷事故 全国で多発学校プールに飛び込んだ子どもが重傷を負う事故は全国で多発している。 鳥取県湯梨浜町では昨年7月、小学校のプールで練習していた小6女児が、水面からの高さ36センチのスタート台から水深約90センチの中に飛び込んで首を打撲。6日間入院した。女児は水泳大会に向けて放課後の課外活動に参加中で、男性教諭が水面に置いた直径約80センチのフラフープの中に飛び込むよう指示していた。町教委は今月2日、事故を検証するため調査委員会を立ち上げた。 奈良県では2012年8月、元水泳部員の20代女性が水深1.06メートルの母校の高校プールに飛び込んで首を骨折。プールは満水時より水が約10センチ少なく、女性が県に損害賠償を求めた裁判は、昨年10月に1億円の支払いで和解し、同県教委は高校の授業での飛び込みスタートを原則禁止にした。東京都教委は昨年、長野県教委も15年に、いずれも高3男子が授業中に水深1メートル強のプールに飛び込み首を骨折した事故を受け、授業での飛び込みを原則禁止にしている。 PR情報
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