北海道小樽市で1997年、拳銃などを所持したとして銃刀法違反の罪で懲役2年の実刑判決を受け、服役したロシア人元船員アンドレイ・ナバショーラフさん(47)の裁判をやり直す再審の判決公判が7日、札幌地裁(中桐圭一裁判長)で始まり、中桐裁判長はナバショーラフさんに無罪を言い渡した。
2月の初公判では、検察側は有罪を立証する証拠請求をせず、「直ちに無罪判決が宣告されるべきだ」と述べた。一方、弁護側は「違法なおとり捜査」を告白した稲葉圭昭・元道警警部(63)(覚醒剤取締法違反などで有罪)の供述書などを証拠請求したが、同地裁に却下され、おとり捜査の実態に関して審理は行われず、結審した。
再審開始のきっかけは、稲葉元警部が自身の公判で、ナバショーラフさんの事件は「組織的な違法捜査」だったと暴露したことだった。これを受け、弁護側は2013年に同地裁に再審請求し、同地裁は16年に再審開始を決定。検察側は即時抗告したが、札幌高裁は同年に地裁決定を支持し、17年2月に再審が始まった。