松井府知事、森友学園は「詐欺的」建築費Wスタンダードを批判
大阪府の松井一郎知事は6日、大阪府豊中市の国有地を格安で取得した学校法人「森友学園」(大阪市)の小学校の設置認可判断が先送りになるとの認識を表明した。先送りされた場合、学園が目指す4月開校は不可能となる。この日、国側が補助金を算出する際に約15億円と試算した校舎・体育館の建築費を、学園側が7億5600万円と府に報告していたことが判明。松井知事は申請関連資料を全て見直すことを明言した。
「森友学園」の建築費について、国の補助申請の窓口となった「木を活かす建築推進協議会」などによると、校舎・体育館は木造の一部3階建て、延べ床面積5678平方メートル。学園側は2015年度に1億1875万円の補助金を申請した。
木質化される延べ床面積を勘案し、補助の対象事業費として建築費を約15億円と試算。その結果、国は上限を約6194万円とする補助金の支給を決めた。国土交通省の由木文彦住宅局長は6日の参院予算委で、約5600万円を支給済みだと明らかにした。
しかし、学園が今年2月に府に提出した財務の健全性を示す収支報告書には、支出した建築費を7億5600万円と記載。府私立学校審議会では報告書を基に認可の可否が議論されていた。府教育長によると、学園側は国側には最大限の費用で補助金申請し、府への報告額が正しいと説明し、補助金を返還するとした。この事実に松井氏は
「ダブルスタンダードで詐欺的なことになる。信用できない」
と厳しく批判した。
森友学園では、土地取得問題のほかに、愛知県の私立「海陽中等教育学校」への推薦入学枠を確保したと虚偽の報告を府にした疑惑が浮上したばかり。この日、府教育長は学園側が「(海陽―の)出資企業の役員と交渉していたが、合意はしていない」と虚偽を認めたことを明かした。松井知事は申請関連資料について「全て見直さなければならない。相当の日数が必要で、(早期認可は)物理的に難しい。悪意があったのであれば、教育者としての体質に疑問を持つ。(学園の)言い分をそのまま了解できる状況じゃない」と指摘した。
府が申請関連書類の記載内容を十分に確認できなかったことに関し、松井氏は「(学園側は)教育者なので、性善説に立って書類に虚偽はないという形で受け付けていた」と説明した。
小学校の認可は、23日に開催予定の私学審を踏まえ、府教育長が最終的に決定する。委員の一人は「問題が山積しており、詳しくチェックすべきだ」と先送りに賛同する見方を示している。