がっしりとした四肢にぷっくりもふもふな毛、愛くるしい表情を見せるマヌルネコの魅力についてはこれまでも何度かお伝えしてきたが、マヌル猫が生息するロシア、バイカル湖周辺でこんな珍事件があったようだ。
今からおよそ10年ほど前、ロシアのあるご家庭で、育児放棄されたとみられる4匹の子猫を引き取った。最初からイエネコとはちょっと違った風情を醸し出していたが、フワフワなタイプの子猫ちゃんだと思っていたという。だが育つにすれなんかちがう、ちょっと違う。
じつはその子猫たち、イエネコではなくヤマネコのマヌルネコだったのである。
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一風変わった4匹の子猫たち発見し保護する
2008年のある日のこと、ロシアの農家の家族が納屋の中で妙な子猫を見つけた。その数は全部で4匹で、まだ目も開いていなかった。だが母猫らしき姿は現れず家族は彼らを育てることにした。
image credit:radzhana-daur
しかし気になったのはその外見だった。その子猫たちは一家が今まで見たどの猫とも違う外見をしていた。だがまだ生まれたての小さな子猫。とりあえずそのままイエネコのように育てていった。
だが日が立つにつれ、徐々にその違いが明らかに。これってもしかしたら特殊な猫かもしれない、そう考えた一家は、最寄りのダウルスキー自然保護区に連絡してみた。
はいこれ、マヌルです。
すると保護区の専門家は、この子猫たちは中央アジア原産の希少種、マヌルネコであるとすぐに特定したのだ。
彼らの大きさはイエネコと変わらないが、異なる点はいくつもある。マヌルネコの顔は普通の猫よりも広く、耳は平ら。体はガッシリしていてたくましく、脚の長さが短いが毛足は長い。
そしてこれらの特徴は厳しい環境を生き抜くマヌルネコ特有のものなのだ。
イエネコ母さんの協力で育児開始
マヌルネコは保護対象である。地元の保護施設でひきとることとなった。子猫たちにとっては、少々種類が違っていても親代わりになる猫がいたほうがいいだろう。そこでスタッフたちは、子猫たちを子育て中のイエネコの母子2組のそばに置いてみた。
するとありがたいことに母猫たちはマヌルネコの子猫たちをわが子同様に受け入れ、お乳を与えたりお世話をするようになったという。
image credit:radzhana-daur
それから子猫たちはおよそ半年間、施設内でイエネコのお母さんやスタッフたちの愛情を受けながらすくすくと育っていった。
マヌルっぽくなってきたぞ!
image credit:radzhana-daur
小さくてもヤマネコ。
肉を食らうその姿は凛々しいっすよマヌル先輩
image credit:radzhana-daur
いかにもわたしがマヌルだが?
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イエネコと人間に育てられたマヌル猫なので、ときおりイエネコっぽく人間に甘えてみせたりなんかする。
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マヌルネコは本来野生で生きる猫であり、自然で暮らすことが望ましい。そこで秋がめぐってきたある日、スタッフたちは彼らを施設の外に解放した。
ところが・・・
おまえら知ってる?自然界の冬とか超やばいから。
うっかり出戻ってきたマヌルネコたち
寂しいけれどそれが彼らの幸せなのだ。以後、スタッフたちは彼らの幸運と健康を祈っていた。そしてまもなく追跡用の首輪も外れ、消息もわからなくなったある冬の日、思いがけない出来事が起きた。
なんとマヌルネコたちが再び姿を現したのだ。
どうやら彼らが野生で過ごした最初の冬は散々だったらしく、体重はかなり落ちていた。すぐに寒くなり狩りもできなくて元の家が恋しくなったのだろう。これは放した時期が悪かったようだ。
image credit:radzhana-daur
今度は春に再度挑戦。今では保護区で野生稼業やってます
そこでスタッフたちはその冬は彼らを保護し、春に再び彼らを解放した。すると今度は大成功!経験を積んだ猫たちはうまく環境に慣れ、とうとう冬を乗り切った。
かくして幸運な子猫たちは自然界で暮らす立派なマヌルネコになることができた。優しい人々と母猫たちの愛情を受けて旅立った彼らは、現在保護区で子孫たちとのびのびと暮らしているそうだ。
飼いならされたマヌル改め、野生のマヌルですが何か?
image credit:radzhana-daur
via:honesttopaws、neatorama、reddit、imgurほか・translated D/ edited by parumo
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コメント
1. 匿名処理班
自然に帰る事が出来て本当に良かったですね。
やっぱりヌマルさんは野生であるから良いと思う。
内心、こんな人慣れするなら…って感じもして飼育してみたい、って思う所も有るけど、保護以外でそれを行うのはエゴになってしまうので、ここは我慢ですね。
2. 匿名処理班
こういう、Xだと思ってたらYだったみたいなやつ大好き!
3. 匿名処理班
冬に逃げ帰ってきちゃうのが可愛いw
でもその後春から野生に戻れば適応できるのはさすがだね!
幸せになってたくさん子孫が増えますようにー!
4. 匿名処理班
絶滅危惧種が保護されるってすごい嬉しい。
そしてしっかり野生に帰ったのも嬉しい。
日本のヤマネコもしっかり守っていきたいですな。
5. 匿名処理班
貫禄と丸くて可愛いが合わさり最強に見える
6. 匿名処理班
マヌルネコはアウトラインがずんぐり&フサフサで超可愛いのに
般若の顔っていうのが最高にいい
7. 匿名処理班
マヌルさんが懐いてるところ見るのは初めてだ、新鮮。
8. 匿名処理班
希少動物でかわいんだから冬は施設で保護するハン野良のマヌル猫としてあつかてもいいんじゃないの
9. 匿名処理班
ロシアらしいワイルドでほのぼのとした話題だな
10. 匿名処理班
マヌルさんは生まれた時からマヌルさんなんだねぇ…。
お膝に乗っかって欲しいわ。
11. 匿名処理班
ヒザに甘えてるとこかわいい。
12. 匿名処理班
親から何も学ぶ機会がなく、イエネコにイエネコとしての子猫のあり方を学んだだろうに
野生生活に適応できたあたりが、やっぱりイエネコとは違うなって思う。
イエネコは野生としての本能が色濃く残っているとはいえ、やっぱりイエ用のネコなんだね
13. 匿名処理班
もふもふほっぺをむにゅーと引っ張ってみたい
14. 匿名処理班
ううん。
このぶっとい前足をにぎにぎしたい。
15. 匿名処理班
温暖な日本の本州太平洋側でも、「秋に自然に帰す」のは避けようと思うぞ
ましてやバイカル湖周辺って・・・好意的に解釈すれば「自然に戻すなら早いほうがいい」って発想だったのかもしれないけれど、ちょっと想像すればわかりそうなことなのに。
16. 匿名処理班
うん、やっぱカワイイって正義だわ
17. 匿名処理班
甘えんぼでも顔が怖いぞゑび左衛門
18. 匿名処理班
こんな生き物がいたのか、知らなかったわ。
19. 匿名処理班
マヌルネコって瞳孔が縦長じゃなくて、まん丸なやつだっけ。
20. 匿名処理班
マヌルネコほんと好き
マレーグマと同じぐらい好き
21. 匿名処理班
ぶさ…あれ?可愛い成分多い目のマヌル…少し混ざったのかなあ
22. 匿名処理班
モンゴル?でも猫拾って来たらユキヒョウだったとかあったよね。
23. 匿名処理班
血よりも家庭環境だと思ってるから、家で育ったら家猫の生涯でいいと思うのにダメなのかなあ。
24. 匿名処理班
野生の子は生まれた時から雪ん子だもんなぁ
25. 匿名処理班
本当のマヌル母さんはどうしちゃったんだろう?
自分の産んだ子マヌルが元気に生きてるって知ったら嬉しいだろうね
26. 匿名処理班
すてきな話しだね〜 にんまりしちゃった
27. 匿名処理班
ワンコだと思って何処かでニホンオオカミ保護していないかなぁ。
28. 匿名処理班
パルモたんの文章がすき
29. 匿名処理班
保護して人間に慣れた動物は、そのまま自然に戻さず飼い殺したほうが動物のためだと思う
「動物は自然に生きるのが一番だ」なんて考えはエゴだろ
人の手で育てられ、住み慣れた家から引き離され自然界に放り出される
この方がよっぽど動物虐待じゃないかね?
30. haha
マヌルだかヌルヌルだかきいたことが無い類。
ただ分かったことは、可愛いということだけ。
無事に野生に戻れて良かったね。
また来てね!?