ツタヤ図書館、利用者にTポイント付与で波紋…CCCを選定した教育委員長が館長に天下り
「Tカードを貸し出しに使えるようにしたのは知っていますよ。えっ、ポイントが付く? そんな話は知りません。初めて聞きました」
高梁市の市議会関係者に話を聞くと、初耳であると言い、驚きを隠さない。さらに、別の市議会関係者も「併設のカフェでコーヒーを飲んだらポイントが付くのは知っていましたが、本の貸し出しにまで付くとは聞いていません」と言う。その後も複数の関係者に話を聞いたが、一様に寝耳に水だと言う。
では、CCCは議会の承認も取らずに独断でTポイント付与を決めたのだろうか。別の自治体関係者は、こう断罪する。
「もし、こんな重要なことを議会も通さずに受託事業者が勝手にやったとしたら、うちの市だったら、即指名停止処分ものです。議会イコール市民ですから、市民に説明なしに勝手なことをやったら完全にアウトです」
だが、別の地方のある図書館関係者は、独断で導入した可能性は低いとみる。
「市からなんの同意も取り付けずに、CCCが勝手にポイント付与を始めるということは考えられません。なんらかの文書があるのではないでしょうか。しかし、議会で一度は入れないとされた制度を密かに入れることにしたというのは、やり方としては姑息だと思います」
そこで、高梁市教育委員会に確認してみると、「その点につきましては、現在調査中ですので、今は答えられない」と返答があった。議会での承認を得ているかどうかだけでも確認させてほしいと伝えたが、「それも含めて現在調査中」の一点張りだったため、あらためて質問状を送付して回答を求めたが、期日までに回答はなかった。
事の経過を調べたという市議会関係者が、こう明かす。
「当時の現場責任者に経緯を聞いたところ、(Tポイント導入に関して)やりとりした記憶はないみたいです。ただ、おぼろげながら、自動貸出機を導入するのに1台当たり数百万円もの費用をかけているので、利用者をそちらに誘導するために、自動貸出機を使用したときにだけTポイントを付けることを検討したと覚えていました。ただし、それがCCCと協議した内容なのか、それとも内部での話し合いだったのかは定かでないようです」
CCCが議会を軽視している表れ?
CCCとの交渉にあたった担当者が、こんな重大なことを覚えてないというのは腑に落ちない。
そこで、高梁市図書館長を務める藤井勇氏に話を聞いた。同氏は、CCCを指定管理者と決定した時点では教育委員会の委員長職にあり、現在はCCC社員として館長に就任しているので事情を知っている可能性が高いと考えたためだ。だが、「まったくわかりません。許可を与えるのは議会であって、教育委員会ではありません」と関与を否定した。
Tカード採用は議会の承認を得ているものの、Tポイントの付与に関しては導入の過程を市側の誰も知らないということは、CCCは「取り上げる必要もないほど些細な問題」として説明を省いたのだろうか。そうだとすると、あまりにも市民の個人情報保護についての姿勢がいいかげんすぎる。
どのような経緯で導入されたにせよ、議会で「Tポイントは付かない」と教育次長が明言し、複数の市議会関係者が「聞いていない」と証言していることから、議会への説明・承認手続きになんらかの瑕疵があった可能性が高いと言わざるを得ない。
市議会関係者に、「CCCの都合で話が進むのは、館長の天下りも影響しているのではないか」と質問すると、「大いに影響していると思う」と認めつつ、こう続ける。
「こんな重大なことを議会の承認なしにやったとしたら、大変な問題だと思います。裁判沙汰になってもおかしくない事案なので、今後議会で厳しく追及していくつもりです」
図書館関係者たちからは「CCCは、高梁市を侮って無視して進めているのではないか」との見方も出始めている。
さらに調べていくと、図書の貸し出し時にポイント付与することは、議会承認の存否とは別に、市がCCCと交わした基本協定書に違反している重大な問題である可能性が出てきた。その点は、次号で詳しくみていきたい。
なお、もう一方の当事者であるCCCにも、この件の経緯について説明を求めたが、「市に問い合わせてほしい」として回答を得られなかった。
(文=日向咲嗣/ジャーナリスト)