「在日米軍標的に訓練」 8日にも安保理
【北京・西岡省二、ワシントン会川晴之、ニューヨーク國枝すみれ、ソウル米村耕一】北朝鮮国営の朝鮮中央通信は7日、金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党委員長の立ち会いの下で「在日米軍を攻撃する弾道ミサイル4発を同時に発射する訓練が実施され、成功した」と発表した。北朝鮮は6日午前、北西部の平安北道東倉里(ピョンアンプクドトンチャンリ)付近から日本海に向けて弾道ミサイルを発射しており、発表はこれらを指しているとみられる。
日米韓の3カ国は6日、国連安全保障理事会に緊急会合の開催を要請。8日にも開かれる見通しだ。米軍は7日、在韓米軍への最新鋭地上配備型迎撃システム「終末高高度防衛(THAAD)ミサイル」の一部展開を始めたと発表した。トランプ米大統領と韓国の大統領代行を務める黄教安(ファン・ギョアン)首相は7日朝、北朝鮮への対応策を電話で協議した。
朝鮮中央通信によると、北朝鮮の訓練に参加したのは朝鮮人民軍戦略軍火星砲兵部隊で「有事に日本駐屯米軍基地を攻撃する任務」を担うという。ラヂオプレスによると、同部隊の任務がこのように伝えられたのは初めてとみられる。訓練目的は「核弾頭部の扱いや迅速な作戦遂行能力を評価すること」とされた。
また、朝鮮中央通信は「合同軍事演習を強行して朝鮮半島の平和と安定を破壊する敵に報復する」と伝えた。今回のミサイル発射が米韓合同軍事演習への対抗だと確認された形だ。金委員長は、同時に発射された弾道ミサイル4発を見て「アクロバット飛行のように同じ姿勢で飛んでいく」と表現。精密化・知能化されたミサイルを開発するよう指示した。
国連安保理会合では、北朝鮮を非難し、国連加盟国に制裁決議の履行を求める報道声明の採択を目指す。グテレス国連事務総長はミサイル発射を「地域の平和と安定を大きく損なう」と批判した。
一方、米NBC放送は国防総省筋の情報として、今回北朝鮮が発射したのは5発で、うち1発が失敗に終わったと伝えた。米国防総省のデービス報道部長は6日、複数の準中距離弾道ミサイルが発射され、うち4発が日本海に着弾したと説明、4発以上の可能性を示唆した。韓国軍は7日、改良型の「スカッドER」が発射されたとの見方を示した。