北朝鮮
「金正恩はもう死んでいる!?」安倍官邸が摑んだ仰天の影武者情報
近藤大介のコリア・ディープスロート
近藤 大介 プロフィール

耳たぶの形が違う

安倍首相は、2月13日夜に帰国すると早速、関係各部署に、「金正恩ダミー説」に関する極秘調査を命じたのだった。

翌14日夜には、「マレーシアの空港で金正男が暗殺された」というビッグニュースが飛び込んできた。以後、首相官邸は、そちらのフォローに忙殺された。

「金正男の暗殺は、2月16日の故・金正日総書記生誕75周年に向けた金正恩委員長への〝プレゼント〟として、朝鮮人民軍偵察総局が企画・実行した犯行であると推定されます。韓国に亡命していた金正男の従兄弟・李韓永が'97年に殺害されたのも2月15日でした」

安倍首相のもとには、そのような報告が上がった。

実際、北朝鮮は2月15日に平壌体育館で、「金正日総書記生誕75周年慶祝中央報告大会」を開催。2月に89歳を迎えた金永南最高人民会議常任委員長(序列2位)が、「継承問題を完璧に解決したのは、千年、万年の未来と共に末永く輝く最も尊い業績である」と宣言した。

いくら北朝鮮国内で情報統制が敷かれているとはいえ、前日夜のニュースは、口コミで平壌の幹部たちにも伝わっているはずである。そのため、平壌体育館に勢揃いした幹部たちには、「継承問題を完璧に解決した」という発言が、異母兄の暗殺と重なって捉えられたことだろう。

当の金正恩委員長は、壇上中央に鎮座し、硬い表情を崩さないまま、金永南常任委員長の演説を、じっと聞いていた。

その表情に見覚えがあると思ったら、'13年12月17日に開催した金正日総書記三回忌の記念式典の時に見せた様子とソックリだった。

その5日前の12日に、叔父(父金正日総書記の妹の夫)にあたる張成沢党行政部長を処刑したばかりの金正恩委員長は、終始硬い表情を崩さず、スピーチもなかった。

金委員長は、75周年の報告大会を終えた夜、2月16日午前0時に、党や軍の最高幹部たちを引き連れて、金日成・正日父子が眠る錦繍山太陽宮殿を参拝したのだった。

こうして金正日総書記生誕75周年の一連のイベントは終了したが、それから数日のうちに、安倍首相官邸に、先の「トランプ発言」を裏付けるような情報が、続々と寄せられた。

 

例えば、アメリカやロシア、韓国などの諜報機関も、「金正恩ダミー説」の各種証拠を握っているといったものだ。

中でも、最も有力だったのは、安倍首相に上げられた次の報告だった。

「2月15日と16日に朝鮮中央テレビが報じた金正恩委員長の映像を、以前のものと詳細に比較してみたところ、耳たぶの形が違うのです。また歯形も異なっているように見受けられます。

特に耳たぶの形は、変えようがないものなので、やはりダミーが登場していると見るべきかと思います」

安倍首相は半信半疑のまま、そうした報告を聞いた。

たしかに、'10年10月26日に朝鮮中央通信が配信した写真と、今年2月21日に朝鮮中央通信が配信した最新のものを見ると、昔は耳たぶの先が頬にくっついていたが、最近の写真では、離れているのだという。さらに笑った時の歯形も、7年前と異なっているというのだ。

金正恩委員長は日常のストレスによる暴飲暴食がたたって、体重が7年前の約80㎏から130㎏に急増したと韓国の国家情報院は推定している。

そのせいで、糖尿病を患っているとも推定している。ダミーを置いて静養しているとかもう死んでいるとかいう説は、そういうところから来ている。