(英フィナンシャル・タイムズ紙 2017年2月28日付)
フランス西部ナント郊外で行われた選挙集会で演説する国民戦線(FN)のマリーヌ・ルペン党首(2017年2月26日撮影)。(c)AFP/JEAN-FRANCOIS MONIER〔AFPBB News〕
フランスと米国はともに、自分のことを例外的な国だと思っている。しかし、両国の歴史は同様なパターンをたどっていることが多い。例えば、米国の独立革命(1775~83年)が起こると、程なくフランス革命(1789~99年)がこれに続いた。そのため歴史家の中には、18世紀の終わりごろを「大西洋の革命」の時代と呼ぶ向きもある。
では、未来の歴史家たちはいつの日か、21世紀初めの「大西洋の反革命」について書き記すことになるのだろうか。昨年11月のドナルド・トランプ氏の米大統領選出に続いて、今年5月のフランスの選挙で極右政党の国民戦線(FN)を率いるマリーヌ・ルペン氏が大統領に選ばれれば、そういうことになるかもしれない。
トランプ氏の運動とルペン氏の運動との間には思想的な共通点が多い。イスラムへの敵意、ナショナリズム、ポピュリズム(大衆迎合主義)、保護主義、ブレグジット(英国の欧州連合=EU=離脱)への支持、親ロシア、主流派メディアに対する憎悪などがそれに当たる。
また、どちらの指導者も時計の針をもっと保守的な時代に戻したいと考えている。憎い「リベラルなエスタブリッシュメント(自由主義的な既存の体制)」に対抗する革命を企てることで、グローバル化や多文化主義が広まる前に戻したいと思っている。
ルペン氏は、米大統領選挙でのトランプ氏の勝利を新時代の夜明けだと称賛した。また、トランプ氏の側近にはスティーブン・バノン氏をはじめ、欧州の極右勢力と交流を深めてきた人物が数人含まれている。
政治的な理由から、ルペン氏はトランプ氏とのつながりを注意深く扱う必要がある。各種の世論調査によれば、米国の新大統領はフランスの有権者には人気がない。極右勢力の支持者の間でさえ不人気だという。