参院予算委員会で質問に答える安倍晋三首相=国会内で2017年3月6日午後1時12分、川田雅浩撮影
6日の参院予算委員会の集中審議で、大阪市の学校法人「森友学園」による国有地取得問題への質問が相次いだ。土地の売却価格が大幅に減額された経緯に関し、与党は「政治的配慮で安く売ったわけではない。冤罪(えんざい)のような話だ」と主張。野党は「交渉記録の廃棄など不透明さは明らかだ」と改めて反発を強めている。【小山由宇、光田宗義】
「事務方から適正に処理されたと説明してきたが、正直に言って腑(ふ)に落ちる説明がされなかったのは事実だ」。安倍晋三首相は冒頭、西田昌司氏(自民)の質問に「説明不足」を率直に認めた。
首相は分かりやすい説明に努めるよう事務方に指示したとも強調。野党は学園の籠池泰典理事長の参考人招致を求めているが、政府・与党は「違法性のない事案」(菅義偉官房長官)として否定的だ。首相が説明不足を認めたのも、政府自ら説明する姿勢を示し、世論の反発をかわす狙いとみられる。
政府側は、ごみの撤去費用を国土交通省大阪航空局が算定するなど異例の対応を取ったことに関し「撤去に時間がかかり開校できなくなれば、損害賠償訴訟を起こされる恐れがあった。適切な対応だった」(佐川宣寿財務省理財局長)などと繰り返し正当性を主張。西田氏も「疑惑というより、トランプ米大統領に言わせればフェイク(偽)ニュースだ」と言い切った。
一方、野党の追及はこの日も続いた。福山哲郎氏(民進)は小学校の「名誉校長」に昭恵夫人が一時就任していた点を「『首相や夫人に恥をかかせる』と役所はそんたくする」と質問したが、首相は「法的プロセスに沿って正しい根拠があったのであれば、私も妻も関係ない。印象操作だ」と反発。野党側の質問に「事務方の答弁で繰り返し法的根拠を示している」といら立つ場面もあり、山本一太委員長(自民)から「答弁は的確に」と注意を受けた。
野党は政府の説明に納得しておらず、共産党の小池晃書記局長は記者会見で「交渉記録は全部廃棄したと言っており、何を根拠に8億円の値引きが妥当なものとなるのか。籠池氏の招致も当然やらなければならない」と強調した。