丁度タイミングよくこんな動画が上がったから、二つ目の記事の埋め合わせを書くモチベーションが出てきた。感謝します。
個人的なことを言えばボーカロイドの衰退は全くもってどうでもいいこと。
もうすでにボーカロイド界隈には次々と埋もれた才能が表出するための土壌ができてるし、
聴き専とかリスナー方面を見ていても、この土壌はそう簡単には枯れそうもないなとも感じる。
音楽が好きなだけの自分にとってはそれだけで十分で、落ち目だとかオワコンだとかには然して興味は無い。
ただやっぱり問題なのは、ライトな層がごっそりと抜けていったこと。
彼らには、別に死ぬ気で音楽に入れ込む理由は無い(自分がボカロに入れ込む理由が無いのと同じように)し、要はそういう場さえあればいいという人たちばかり。
だからといって、本当に死ぬ気で音楽を聴くような奴は全くの少数派で、そいつらだけでシーンを作るのは無理がある。
にわかがいてこそ底辺は拡大するもんだし、拡大すれば新たな才能が出てきやすくなる。
そういう意味では、どうでもいいわけでもないんだろう。
といっても、自分にはこの状況を変えるための解決策は無い。
自分がボカロPになって変えてやるぜ!って気概も無いわけでもないが、
まぁまだまだミックスとか地道に頑張らなきゃならない部分で実力不足なのは今痛感してるとこ。
というわけでこの動画を見て、個人的に思ったことだけを書いていきたい。
何の意味があるかは知らんが、ちょっと気になる部分があったので。
後半にまとめとして、衰退の要因が3つ挙げられる。引用すると、
1、「初音ミクのプロデュースを蔑ろにしたから」
2、「急激な発展と商業化への世代交代」
3、「運営のせい」
となっている。
2と3はほぼ万人が納得するだろうなと思う。
2はカゲプロが一段落した2013年末くらいからのシーンを見る人は誰もが実感してるだろうし、3はまぁ昔っからそうだから。
ただ、1に関してはあまり同意はできないかな。
そもそもボーカロイドブームって初音ミクのプロデュースが人気の主な理由だったのか?という疑問がある。
現在の「VOCALOID」タグを再生数順にソートして、1ページ目の32動画の内、ボーカロイドである必然性を持った楽曲は「みくみくにしてあげる♪」と「初音ミクの消失」の2曲くらいなもんじゃないか?
初音ミクの発売当時を思い返してみれば、確かに初期のオリジナル曲は「恋スルVOC@LOID」や「Packaged」、「ハジメテノオト」といったボーカロイド・初音ミクであることを前提とした曲が中心だった。
しかし、その流れをぶった切るように「メルト」が年末に颯爽と現れたことは未だに覚えている。
何せ、メルトショックと呼称されるようになる、関連動画のランキング上位独占の光景は圧巻だったから。
それに加えて、曲自体は全く初音ミクが歌う必然性なんて無いような普通の良い曲だった。
そしてこの「メルト」のヒットを皮切りに、とんでもなく雑多な楽曲たちがボーカロイドによって世にお目見えすることになる。
つまり発売から3か月ちょっとで、もう既に初音ミクのプロデュースは蔑ろにされつつあったといっても良いんじゃないかと思う。
しかしご存じのとおり、ボーカロイドはその後、大きく成長していくことになる。
十代の等身大な感情がボーカロイドによって代弁され、支持されていく。
前述の32動画の内の残り30動画のほとんどがそんな曲ばかり。
初音ミクのプロデュースが蔑ろにされたことは、多様な楽曲が多く投稿されるきっかけとなり、むしろボーカロイド文化が肥沃になっていく要因だったのではと思う。
以上より衰退の要因として1は不適当なのではないかと考えてます。
もちろん、カゲプロなんてボカロ関係ねーじゃんダシに使ってるだけだろつまんねー、
という人も少なからずいるので全面的に否定はできないけど。
さて、ここまでは冒頭の動画の内容に関連したことばかりでしたが、
個人的には他にもう一つボカロが衰退した原因があると思っています。
それは同時に成熟する要因でもあったとも考えてるけど。
ここからは、本来二つ目の記事として投稿しようと思ってた内容となります。
カゲプロが一段落した13年末、突如として現れヒットしたこの動画。
VOCALONOBIS運営者によるボカロ楽曲紹介動画。
ニコ生で「計算ずくでヒットさせた」と語った通り、商業主義に辟易するボカロリスナーに
世俗的な野望から遠めに位置する実力者たちの楽曲を提供することによって、見事にニーズに応えてみせた。
関連動画がランキングに顔を見せる事態は個人的にメルトショック以来の出来事だった。
そしてコメントには「良い曲ほど埋もれてる」だの「最近の曲は動画だけ」だの「お前らちゃんと漁れよ」だの、まー好き勝手にてきとーなことばかり、ずらりと並んでましたわ。
しかし問題となるのはこの動画の後に続くものがどうなるかということ。
紹介された楽曲はいずれも質の高いものではあるが、そのジャンルや傾向は様々で、全く統一感が無いと言って良い。
分かりやすい記号が無いため、実は音楽そのものについては殆どの人が着いて行けておらず、
現に紹介されたPの他の楽曲はそれほど伸びていないものが多い。
さらに、注目を浴びるために従来の手法によって作成される動画は、商業主義的だと叩くべきである、という再確認をすることとなってしまった。
結局この動画によって、注目されるための方策は無いということが浮き彫りとなり、それが今日の状況にまで続いているのではと思う。
個人的にはむしろこの動画がきっかけで、埋もれたPや新たに参入したPのモチベーションが上がってたりしてるんじゃないかと考えてるのでありがたく思ってる。
良い曲を作れば評価してくれる人がいることは嬉しいもんだし。
実際、自分がボカロ楽しいと思い始めたのはこの時期から。
どんどん面白くなっててすげーホクホクなんだけど、みんなはそうじゃないらしい。
まぁこんな状況は他のところで慣れきったものだから別に良いんだけど。
結局ボカロ界は八方塞がり。どうなっていくのか。