【ロンドン三沢耕平】仏自動車大手グループのプジョー・シトロエン・グループ(PSA)は6日、米ゼネラル・モーターズ(GM)から同社子会社の独オペルなど欧州事業を計22億ユーロ(約2600億円)で買収すると発表した。オペルを加えたPSAの欧州でのシェアは16.6%に拡大。仏ルノーを抜いて独フォルクスワーゲン(VW)に次ぐ2位となり、欧州の自動車業界の勢力図が塗り替わることになる。
両社の発表によると、PSAはオペルと姉妹ブランドの英ボクスホールのほか、GMが欧州で展開する金融事業を買収。オペル買収によって主力市場の欧州で規模の拡大を図る考えだ。オペルの強みである電気自動車(EV)技術の獲得や部品の共同購入によるコスト削減効果を生み出す狙いもある。
記者会見で握手する(左から)GMのバーラ最高経営責任者(CEO)、PSAのタバレスCEO、オペルのノイマン社長=パリで6日、ロイター
一方、GMはオペルの売却で欧州事業から事実上撤退する。2016年12月期の欧州事業は2億5700万ドル(約290億円)の赤字。英国の欧州連合(EU)離脱で欧州経済の先行きが不透明となる中、欧州事業の継続は困難と判断したもようだ。
オペル買収は当初、2月中に合意に達するとみられていたが、製造拠点のリストラを懸念する独・英両政府が難色を示したことで長期化。GM、PSAの経営陣はメルケル独首相やメイ英首相をはじめとする両国の政府関係者や有力労組などに接触し、買収への理解を求めていた。