やわらかく香り高い春のにらを、中華のスープでどうぞ。
にら、しょうが、ごま油、それに唐辛子。定番の中華素材ですが、中華料理屋でよく出会うようなパンチの効いた味ではありません。舌から喉へとなめらかにすべり落ちていく、繊細でやさしい味わいのスープを作ります。
主役は、にら。にらの旬は、春です。年中出回るにらも、この季節はみずみずしくやわらかく、独特の臭みもおだやかで、たっぷり食べるのに適しています。しょうがや豚ひき肉など強い味になりがちな素材も使いますが、それらをにらの風味をうまく引き立てるように使います。
油、素材、調味料の順番が特徴的なので、まずレシピで手順を確認してくださいね。
にらとしょうが、豚ひき肉のスープ
材料(2〜3人分)
所要時間 約15分
にら1束(約100g)
豚ひき肉 80〜100g
しょうが 1かけ(10〜15g)
赤唐辛子 1/2本(刻んだものでもOK)
塩 小さじ1
片栗粉 大さじ1
ごま油 少々
水 500mL
1. 材料を切り、ひき肉を湯通しする
にらは7~8㎜幅に切る。★1しょうがはみじん切り。鍋に水1カップ(分量外)とひき肉を入れ、箸でほぐしながら強火で温める。沸騰しはじめ、肉が白っぽくなったらザルに上げてお湯を切る。★2
2. 肉としょうがを入れて煮る
ひき肉を鍋に戻して、しょうが、水500mL、塩小さじ1を加えて火にかける。まず強火、煮立ったら弱火にして約7~8分煮る。弱火にして5分ほどしたタイミングで、種を取って輪切りにした唐辛子も加える。
3. とろみをつけ、にらを入れる
片栗粉を大さじ1の水(分量外)で溶く。鍋の火を強め、片栗粉を少しずつ加えてとろみをつける。にらを一度に投入してひと混ぜし、15~20秒ほどで火を止める。仕上げにごま油をたらす。★3
レシピのポイント解説
・にらの切り方
・肉の湯通し
・仕上げの順番
★ポイント1. にらの切り方
にらは、にらの幅と同じぐらいの長さに切ります。このスープの最大のポイントは、食感にあります。とろみのあるスープの中に、にらとひき肉、しょうがが均等に混ざりあって口の中にゆっくり流れ込んでくるようなイメージです。にらを長く切ってしまうとそのようになりません。
切ったにらが正方形に近いのが理想
★ポイント2. ひき肉の湯通し
まずは、豚ひき肉を湯通しします。やり方は簡単!
鍋に1カップの水、ひき肉を入れて強火にかけ、箸でひき肉をほぐします。いきなり炒めると表面が固まってダマダマになることも多いひき肉ですが、水の中ならパラパラに細かくほぐれます。
火のかけはじめ。均一に火が通るよう、箸でひき肉をほぐす
約1分半で肉の表面が白っぽくなります。まだ赤い部分が残っていても、鍋の縁がプツプツと沸騰しはじめたらすぐザルに上げて、余分な水を切ってしまいましょう。完全に火を通すまで煮てしまうと、うまみが全部出てしまいます。
このぐらいのピンクでもOK
手早くザルに上げ、水を切ります。
熱いので気をつけて
このように、肉を湯通しすることで、アクや余分な脂が落ちます。
家庭向けの中華スープのレシピでは、ひき肉としょうがを炒め、水やブイヨンを加えて煮るという手順が多く見られます。このやり方だとパンチやコクは出るのですが、スープが濁り、脂っこくてすっきりした味に仕上がりません。
この後で煮はじめると、ひき肉にはすぐ火が通りますが、しょうがの辛味を少し抑えるため7~8分加熱します。
この段階では味見してもまだ少し物足りないがOK
★ポイント3.仕上げの順番
仕上げは、片栗粉→にら→ごま油の順番で一気呵成に行います。
片栗粉は後から入れてもよいのですが、あまり混ぜるとにらを傷つけてしまいますし、にらは火を止めても余熱でどんどん煮えていってしまうため、最後に入れるほうが失敗しにくいです。
とろみをつけるときは、よく溶いた片栗粉を沸騰したスープに少しずつ、おたまなどで混ぜながら入れましょう。一度に加えるとダマになってしまうので注意です。
にらを入れたら全体をざっくりひと混ぜして、にらに均等に火が入るようにします。加熱はゆっくり10数えるぐらいで十分です。
このスープは作りたてが一番なので、すぐに食べて欲しいなと思います。できたら間髪入れず盛り付けできるよう、器も鍋の脇にスタンバイしておきたいぐらいです。
もし、家族の食事時間がずれる場合は、ニラや片栗粉を入れる手前、レシピ2の段階で別の鍋にとっておいて、仕上げだけ食べる直前にするとおいしく食べてもらえますよ。
きれいな味わいのスープで、にらの魅力を再認識
餃子やレバにらなど、強烈な印象があるにらも、このスープではクセをあまり感じることなく、印象が変わります。ひき肉は湯通しすることでアクや余分な脂が流され、しょうがもゆっくり煮て独特の刺激や辛みをおさえてあるため、とても食べやすくなっています。
にらは、ねぎやにんにくにも含まれるアリシンという成分が含まれ、疲労回復に役立ちます。免疫力も高めてくれるとされ、花粉症などの季節にもおすすめですよ。
にらがどんどん食べられるアレンジスープ
作り方は同じで肉をほかの具材に変えたり、同じレシピで麺を入れたり、アレンジができそうです。このまま、ごはんやシンプルな玉子チャーハンにかけて食べてもおいしいのです。
海老とにらのスープ
豚ひき肉のかわりに、海老を使っても美味しくできます。ひき肉と同様、海老も細かく切ってしまいましょう。あまり煮てしまうと固くなるので、短い時間で煮ます。
帆立の貝柱でも同様にできる
にら麺
このスープに、茹でた中華麺を入れると、美味しいにらラーメンになります。中華麺のときはもう少し味にパンチが欲しいので、このままでなく、中華だしや醤油を加えて味を濃くするとよいと思います。
インスタントラーメンの麺でも手作りスープならぐっと本格的
味つけはひかえめでも、しっかりと野菜の味や魅力を感じることのできるスープです。
スープのレシピや研究成果を発表している有賀さんのnoteはこちら!