仕事
小島慶子「女は私だけ」という“特権”を手放せるか
蜜をひとりじめする蝶は、他の蝶を追い払う。女性管理職登用を渋るのは、男性とは限らない
「国会議員に女性を増やすためのクオータ制に反対する人の中には、女性も少なからずいるんですよ。悩ましいです」という永田町方面の話を聞いた。「女性は、女性の味方ではないんですね…」と。
「女性は自分だけ」という特権
世間は「女の敵は女」とか「やっぱり男よりも女どうし」とか、なにかと性別で敵味方を分けたがるけど、性別に関係なく、世の中には自分と同じ苦労を味わう人を減らしたいと思う人と、みんなも自分と同じかそれ以上のひどい目にあえばいいと思う人がいる。
DUALを読んでいる女性の中には、総合職や管理職の人もいるだろう。男性と対等な待遇を得られる立場でありながら、暗黙のうちに「本気で対等だなんて思っていません」という踏み絵を踏まされたこともあると思う。その悔しさは私にも経験がある。いわゆる「24時間365日仕事最優先の男性だけがまともな人間」とされる組織の中で、女性であることは異端であり、それ故の苦労もある。
しかし、特権にありつけるのも事実だ。歪んだ特権ではあるけれど。
例えば選挙に立候補するときに、5人の候補者の内で唯一の女性なら「女性の声を国会に!」と言えば注目されるが、女性候補が2人いたらそれだけでは差別化できない。社内の出世レースでも、部長候補がうじゃうじゃいるなかで「やっぱり今時は女性管理職がトレンドだよな」という時代の風に(たとえ微風でも)乗ろうとすれば、他に女性がいない方が有利だろう。
だから、すでに権限ある立場にある女性たちのうち何人かが、いつまでも女性がマイノリティであってほしいという願望を持っていることは容易に想像できる。クオータ制に難色を示す女性がいるのは、「女は女が嫌い」という単純な理由ではなく(なぜか男性はこれを言いたがる)、少数者ゆえの恩恵に浴していることを自覚しているからなのだ。
私にも覚えがある。
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