北朝鮮による弾道ミサイルの発射を受け、日本政府は6日午前、首相官邸で国家安全保障会議(NSC)を開いた。菅義偉官房長官は臨時の記者会見で「引き続き情報の収集、分析に全力を挙げ、追加して公表すべき情報は速やかに発表する」と述べた。政府は1日から始まった米韓両軍による合同軍事演習が発射の背景にあるとみる。
北朝鮮は2月12日、安倍首相がトランプ米大統領と会談するため訪米した際に弾道ミサイルを発射した。1カ月たたずに再び発射を強行した。菅氏は会見で「わが国の安全保障に対する重大な脅威であり、航空機や船舶の安全確保の観点からも極めて問題のある行為だ」と指摘した。
北朝鮮の核・ミサイルの脅威の高まりを受け、米韓両軍は1日、朝鮮半島有事を想定した合同軍事演習を韓国や周辺海域で開始していた。大規模な合同演習はトランプ米政権発足後初めて。北朝鮮側はこれに強く反発し、2日に「超強硬対応措置で立ち向かう」との談話を発表した。
日本政府も北朝鮮のミサイル発射などを警戒していた。政府高官は北朝鮮のミサイル発射の狙いについて「まだよく分からないが、主な理由は米韓演習だろう。演習は北朝鮮への侵攻などを想定している」とした。
安倍晋三首相は6日午前の参院予算委員会で「累次にわたる弾道ミサイル発射は安全保障上の重大な挑発行為だ。安保理決議に明確に違反するもので断じて容認できない」と強調。「いかなる事態にも対応できるよう緊張感をもって必要な対応に万全を期す」と述べた。
岸田文雄外相は「安保理で強いメッセージを発出すべく働きかけをする」と語った。稲田朋美防衛相は「米韓軍事演習に反発した可能性も考えられる」と述べた。
自民党も6日午前、党本部で緊急幹部会議を開催。二階俊博幹事長は「北朝鮮が金正男(キム・ジョンナム)氏を殺害したとされ、国際社会との緊張が高まる中での暴挙だ」と強調した。
北朝鮮情勢を巡っては、トランプ米政権も武力行使や体制転換も含めた圧力の強化を検討し始めたとされる。一方でこうした圧力は北朝鮮の暴発のリスクもある。日本政府は米国と緊密に連携して対応策を練る考えだ。