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総裁任期延長 議論なき自民いつまで

 自民党はきのう開いた党大会で、総裁の任期を現行の「連続2期6年」から「連続3期9年」に延長する党則改正を正式に決めた。

     これにより来年秋、2期目の任期満了となる安倍晋三首相(党総裁)は、3期目(2021年秋まで)も続けることが可能になる。いや、むしろ「安倍3選」のための変更といっていいだろう。それが昨年来、大きな議論もなく決まったことが今の「安倍1強」状況を象徴している。

     安倍首相は大会のあいさつで「自民党は憲法改正の発議に向けて具体的な議論をリードしていく。それが自民党の歴史的使命だ」と語った。

     今回決めた今年の運動方針にも改憲に関して「改正原案の発議に向けて具体的な歩みを進める」と明記された。発議に触れたのは初めてで安倍首相の意向とされる。時期は明示していないものの、首相・総裁を続け、自らの手で改憲を実現したいという意欲の表れと思われる。

     総裁任期は現実には首相の在任期間に直結する。それは何年が適切かは議論が分かれるところだ。

     第2次安倍政権発足前、ほぼ1年で首相交代が続いていたのは、無論正常な姿とは思えない。一方で同じ政権が長く続けば、おごりや独走が目立ち始めるのが常だ。

     「安倍1強」の下、自民党内では活発な議論が乏しくなり、意見の多様性も見られなくなっている。

     今度の延長で「安倍3選」が既定路線となり、「安倍首相にはますます逆らえない」とばかりに「議論なき自民党」に拍車がかからないか。

     懸念するのはそこだ。

     自民党がこれまで「総裁3選」を禁じていたのは派閥の領袖(りょうしゅう)が総裁を競い合った派閥全盛時代のなごりだ。確かに派閥政治には弊害があった。ただし首相を狙う有力候補が目白押しで、政策も含めて党内に激しい議論があったのも事実だ。

     今はどうか。例えば学校法人「森友学園」への国有地売却問題だ。

     自民党では先週になって石破茂前地方創生担当相が「奇怪な話。政府・与党として解明すべきものだ」と語った。石破氏は来秋の党総裁選への出馬を目指す数少ない一人だ。ところがこうした当たり前と思われる発言も党内で広がる様子はない。

     仕組みのうえでは、安倍政権は戦前の桂太郎首相を超え憲政史上最長の長期政権となることも可能になった。だが、それはいずれ行われる衆院選で自民党が勝つのが前提だ。

     野党の弱さもあって依然、安倍内閣の支持率は高いが、森友学園問題をはじめ、政権を取り巻く環境が今後、どう変化していくかは分からない。自民党議員は今、国民よりも安倍首相ばかりを見ていないか。

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