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際立つ習氏「1強」

全国人民代表大会の全体会議の後、習近平国家主席(左)に話しかける李克強首相=北京の人民大会堂で5日、AP

 中国の国会にあたる全国人民代表大会(全人代)が5日開幕した。北京の人民大会堂で、開幕日の全体会議の終了が告げられると、政府活動報告を終えた李克強首相は緊張が解けた様子で立ち上がり、隣の習近平国家主席に話しかけた。習氏は握手などでねぎらうそぶりは見せず、短く言葉を交わしただけだった。毎年の報告は、中国の首相にとって晴れ舞台だ。しかし読み上げられた報告の内容と、上下関係が際立つ2人の振る舞いから、真の主役が誰であるかは明らかだった。

 「習同志を『核心』とする」。報告の中で5度、別格の指導者を意味する「核心」が使われた。1年前に始まった習氏の重要演説などを学ぶ政治運動も初めて報告に盛り込まれた。5年に1度の中国共産党大会に向けて習氏の権威を浸透させていく意図は明らかだった。

 「安定が大局」「安定を前提に」。報告が「安定」を繰り返したのも党大会を意識すればこそだろう。2012年に発足した習指導部は党大会で2期目を迎える。習氏が率いる最高指導部の党政治局常務委員(7人)の人事が焦点であり、人事の主導権を握るため、習氏は既に地方指導者や閣僚にかつての部下を相次いで登用している。5日の全体会議の後も、自身がトップを務めた上海市の地方分科会に出席し、存在感を誇示した。習氏の「1強」ぶりに、最高指導部の不文律とされる「68歳定年制」を見直し、69歳になる右腕の王岐山氏を政治局常務委員に留任させるとの観測も流れている。

 「中国は13億人の大国だ。『核心』なしではばらばらになり、問題を解決できない」。青海省選出の全人代代表(国会議員)、程蘇氏が取材に答えた。「貧困」「就職難」「大気汚染」「不動産高騰」--。報告に列挙された難題を解決に導く期待感が、習氏への権力集中を正当化しているようだ。だが、成果を出せなければ求心力が一気にゆらぐ危険もはらむ。この日の人民大会堂には、何度も習指導部をたたえる拍手がこだました。だが、ひな壇の中央に座る習氏の表情は終始硬かった。【北京・河津啓介】

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