綾辻行人先生の代表作とも言えるのが、ホラー小説『Another エピソードS』です。前作『Another』の続編で、眼帯を付けた美少女である三崎鳴が、ある幽霊と出会ってストーリーが展開されます。それでは、この小説を知らない方のために、ネタをバラさないようにストーリーや見所を紹介しましょう。
- 「Another(前作)」の紹介
- 「Another エピソードS」のストーリー
- 「Another エピソードS」から伝わる事
- 「Another エピソードS」の見所
- 「Another エピソードS」のまとめ
「Another(前作)」の紹介
前作であるAnotherでは、夜見北へ転入してきた『榊原恒一』が、犠牲者を出さないために幽霊を見つけるというストーリーでした。その夜見北で親しくなった女子生徒が三崎鳴で、今回のAnother エピソードSでは、三崎鳴が幽霊と出会った時の話を榊原恒一に話しかける所から物語が始まります。
「Another エピソードS」のストーリー
三崎鳴が、クラスメートである榊原恒一にもう1人の『サカキ』という人物の話を聞かせる所からストーリーは展開されますが、その話は怖い事に幽霊と出会うという現実離れした内容だったのです。
そのサカキとは『賢木晃也』という人物で、榊原恒一と苗字が少し似ている人物でした。この賢木という人物はなぜか理由も分からず亡くなってしまいます。しかし、賢木は亡くなっても幽霊となって自分の屋敷を徘徊します。なぜなら、ある物を探していたからです。
それは、自分自分の体でした。なぜか、自分の体がない上に、お墓もないので埋葬されている訳ではなかったのです。そんな賢木と三崎鳴は以前から知り合いだったので、三崎鳴は賢木へ会いに行こうとしたら、相手が幽霊になっていました。
三崎鳴は、賢木から亡くなった時の状況や、体が見つからない事を知らされます。しかし、困った事に賢木は亡くなった時の前後の記憶がなかったので、なぜ亡くなったのか全く分からなかったのです。
賢木には、嫁いでいった姉『比良塚月穂』がいて、その姉には2人の子供がいました。その子供は兄が『想』で、妹が『美礼』です。賢木は亡くなった前後の記憶が少しずつ思い出していくなかで、現場では美礼の声が聞こえていました。そして、そこには想もいた事を思い出します。
しかし、美礼と想はなぜか賢木が亡くなっている事を周囲にはとぼけてしまうのです。三崎鳴と賢木は協力し合って、無くなったはずの体を探し出しますが、ラストは衝撃的な真実が分かってしまいます。
「Another エピソードS」から伝わる事
前作Anotherは、学校の怪談を全面に出したホラー小説でしたが、今回のAnother エピソードSは、ホラーだけを全面に出したものではありません。それは、人が亡くなってしまった後はどうなってしまうのか?それをリアルに文字で描いているのです。
人は亡くなってしまう原因は様々なものがあります。それは、病気・事故・不幸な出来事・自ら生涯の幕を閉じる方法などがあげられます。もしも、亡くなった後に、誰も面倒を見なかったら人の体はどうなってしまうのか?それが克明に、この小説では分かってしまうのです。
それが分かったら、人は自分が亡くなった後はどうなるのか真剣に考える必要があります。この小説を最後まで読んだら、命を大事にしなければいけない理由が分かるので、怖さを伝えるだけのホラー小説ではないのです。
「Another エピソードS」の見所
前作Anotherの最大の見所は、誰が幽霊だったのか?……という事でした。それにひきかえ、今回の見所は、賢木の体はどこへ行ったのかという事です。しかし、それはあくまでも前半までの話です。
ストーリーが進むにつれて、最大の見所は、体がどこにあったのかではない事が分かります。その見所を見付け出すには、登場人物の会話や賢木の疑問点などからある程度は分かるかもしれません。
「Another エピソードS」のまとめ
私は、前作を読まないうちにAnother エピソードSを読んでしまったので、少し分からない所もありましたが楽しく読む事が出来ました。しかし読み応えのある小説だったので、その後に前作を購入して読む事にしました。その後に再びAnother エピソードSを読んだら、さらに楽しく読む事が出来たのです。
そのため、この小説を読もうと思った時は、まず前作であるAnotherを読む事をおすすめします。今回は榊原の登場回数は少ないのですが、賢木が不可解に思う事が終盤になって一気に解明された時に、なるほど……そういう事だったのかと唸らされる事になると思います。