1月26日、春節を前に帰省や旅行する人々で混雑する北京駅。旅先として韓国を訪れる中国人は減っている【拡大】
先が見通せなくなった日本人客の動向
韓国はこのところ、外国人観光客の誘致をめぐって神経質になっている。そのきっかけは、米軍によるTHAADの韓国配備決定によって、中国が「報復」として国民の訪韓を制限したとされることだろう。韓国政府は中国人客の抜けた穴を埋めるため、韓国ドラマなど韓流の拡散を背景に、タイやベトナムといった東南アジア諸国に触手を伸ばし、さらには中東の「イスラム教徒」もターゲットに据えたようだ。朝鮮日報など複数の韓国メディアが報じている。
こうした中、韓国としては、日本からも多くの観光客を呼び込みたいにちがいない。聯合ニュース(日本語電子版)によると、今年1月の訪韓日本人客は前年同月に比べ約14%増加し、ひとまずは善戦したといえる。
しかし、実際には朴槿恵(パク・クネ)大統領の失脚で今後が見通せなくなった。昨年1年間の日本人客数こそ、2015年12月の慰安婦問題をめぐる日韓合意がはずみとなり4年ぶりに前年を上回ったが、次期大統領選は候補者同士による反日合戦になる可能性が高く、新政権下で慰安婦問題をめぐる日韓合意が反故(ほご)になるという観測すらある。そんな状況で、多くの日本人が喜んで韓国を訪れるだろうか。
また、聯合ニュースの指摘では、近ごろ円が対ウォンで下落しているため「韓日間で相手国からの観光客数の差がさらに広がる可能性が高くなっている」という。つまり、ウォン高・円安が進行すると韓国から日本への旅行費用は安くなる一方、日本から韓国への旅行費用は高くなる。結果、訪日韓国人客が増え、訪韓日本人客が減るという現象が起こることになる。