2017年3月2日、韓国・MBCテレビは、韓国内の食堂や給食で出されるキムチの半分以上が中国からの輸入キムチが占めている現状について報じた。
中国からの昨年のキムチ輸入量は韓国で25万トンと史上最高を記録、この量は韓国国民5000万人が2〜3カ月は十分に食べられる量に相当するという。また仁川(インチョン)港にある冷蔵倉庫は数十種類の商標が付いた中国産キムチであふれ、1日に輸入される10キロの中国産キムチ2400箱は2〜3日以内に売れてしまうそうだ。記事はこうして大量輸入される中国産キムチを「恐ろしい」キムチと表現した。
中国産キムチの価格は10キロで8000〜1万2000ウォン(約790〜1190円)と、安くても2万ウォン(約1980円)する国内産の3分の1程度と安価なことから、輸入業者や食品会社などを通じて食堂や給食業者などに販売され、韓国の中国料理店では90%以上、軽食店やキムパプ(韓国ののり巻き)専門店では約70%が使用していることが分かっている。これまで国内産にこだわっていた食堂でも、一部では昨年の白菜価格の高騰により中国産に目を向け始めたという。
中国産キムチは国産に比べて味が落ちるという評価が依然として多いが、最近ではその差が縮まってきており、中国産に使われる各種甘味料の味に客が慣れてきたという言葉も出てきている。
十数年前には「中国産キムチから寄生虫の卵が検出された」などのニュースが韓国国内を騒がせたが、現在は中国当局の検査も厳しくなり、衛生水準も向上したと言われている。しかし業界の話では、国産と異なり食品安全管理認証基準・HACCP(ハサップ)の認証が必須化されておらず、まだまだ信用はできないという。実際に、中国産キムチから砂やプラスチックのかけら、鉄のボルトなどの異物も発見されたとのこと。
最近では中国産キムチを国産と偽って販売する食堂も出始め、農産物品質管理院による取り締まりも行われている。
MBCは、厳格な通関検査や国産キムチの競争力を育てる対策を立てないことには、近い将来中国産キムチが家庭のキムチ市場も脅かし、キムチ宗主国の座を明け渡すことになるとの懸念が高まっていると締めくくった。
この報道を受け、韓国のネットユーザーからは「中国産キムチの輸入を禁止しろ」「禁止して被害に遭うのは韓国だ」と持論を闘わせる声、「関税を高くしたらいい」「税関での検疫や衛生点検を厳重にして」「中国産のものは買わないようにする不買運動をしよう」と対策を講じるコメント、「見た目だけはキムチ」「本当に白菜を漬けているのかさえ疑わしい」と中国産キムチへの疑念を語るコメントなど、多くの意見が寄せられている。
一方で、「でもほとんどの食堂で『国産キムチ』と書いてあるね」と素朴な疑問を投げ掛けるユーザーもいた。(翻訳・編集/松村)