日本会議は本当に関与していないのか。ベストセラーとなった「日本会議の研究」の著者で、今回の問題についても早くから調査を進めている著述家の菅野完さんはBuzzFeed Newsの取材にこう語る。
「今回の土地取引に、日本会議が関わっているとは思えません。彼らがそれをする動機も、力もない」
そう考える根拠としてあげるのが、次のような点だ。
「彼らは実直に、極めて真面目に活動をしてきました。また、緩やかなイデオロギーによって、さまざまな宗教団体などがつながってできている組織です。仲間割れするようなお金の話題は、基本的にしません。だからこそ、こういう土地取引のようなことをするはずがない」
これまで様々な政策を実現させてきた「署名活動や、地方議会でのロビー活動」などの手法と今回のケースは明らかに違う、というのが日本会議を長年研究している菅野さんの見解だ。
籠池氏は、日本会議と自らの関係性について、週刊朝日のインタビューにこう答えている。
「日本会議の教育理念は私が実践していたのと同じだが、こちらが先にやっていた理念、考えは一致しており、一緒に行動している」
前述した通り、日本会議の中枢には、宗教団体「生長の家」が元来抱えていた「ウルトラナショナリスティック」な教義に忠実なメンバーたちがいる。
現在「宗教法人生長の家」の本体は、すでにその路線を放棄している。それゆえ、菅野さんは日本会議の中核メンバーを「生長の家原理主義者集団」と表現する。
彼らは生長の家創始者・谷口雅春氏に関する雑誌「谷口雅春先生を学ぶ」を発行している。この2004年5月号に、学園理事長である籠池氏の妻・諄子氏が登場しているのだ。
また、その前年には、雑誌にまつわる講演会が、森友学園の運営する「塚本幼稚園」で複数回開かれたこともわかっている。
その関係は、いまも続いているようだ。2016年10月、森友学園に「感謝状」を贈呈したとして問題視された稲田朋美防衛相。彼女も「谷口雅春先生を学ぶ会」の講演会に登壇したことがある。
これらの関係性を調査してきた菅野さんは、こう結論づける。
「籠池氏は、確かに人脈を持っている。ただ、今回の土地取引と関係しているものではありません」
日本会議の中枢につながりを持ち、「生長の家原理主義」の思想に心酔してる籠池氏。ただ、それは今回の土地取引との関わるものではないというのが、菅野さんの見立てだ。
「籠池氏のようなエキセントリックな人が、社会である一定の地位を保とうとするとき、日の丸や君が代など、愛国心などの大義名分は非常に便利です。そういう人が日本会議に引き寄せられる」
そうやって大勢が集った結果、本来の日本会議とは違う動きが周辺で起きているという。
「餡まんで例えれば、餡の部分に日本会議の中枢がいて、最近は、ほかの白い部分がどんどんと拡大している。もう、極限まで。その白い部分の中で起きているが、今回の土地取引をめぐる問題だと思っています」
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