東京都の豊洲市場(江東区)の移転問題を審議する都議会の特別委員会が4日開かれ、参考人招致された地下水モニタリング業者への質疑が行われた。国の環境基準値を大幅に超える有害物質が検出された9回目の調査を行った会社の担当者が、都の指示で過去8回とは違う手順で水を採取したと明らかにした。手順の違いが結果に影響していないか外部有識者の専門家会議が調べる。
都は市場敷地内の201カ所で地下水モニタリングを実施した。通常は井戸にたまった地下水を取り除く「パージ」と呼ばれる作業を行った後、新たにたまった地下水を取って分析する。国のガイドラインは採水時期を示していないが、8回目までの会社はパージ翌日か翌々日に地下水を採水していた。
一方で昨年11月に9回目の調査を始めた会社の担当者は、基準値の79倍のベンゼンが検出された地点も含め201カ所の大半でパージ当日に採水したと説明。うち1カ所は地下水が枯渇していたため、都の指示でパージした水そのものを分析したが、有害物質は検出されなかったという。
また、担当者は「調査前に現地を確認したところ採取困難な地点があると分かり、作業の延期や辞退を申し出たが、都から『責任を持つ』と言われ、作業を進めるよう促された」とも説明した。
都は委員会後、報道陣に対し、9回目に違う手順を指示した事実を認め「12月から地下空間の強制排水が予定されていたため、スケジュールを優先した」と説明。延期や辞退を認めなかった点については「作業が可能か打ち合わせし、応諾してもらった」とした。
都は地下水の再調査をしており、結果は今月中旬に専門家会議で公表される。【川畑さおり、森健太郎】
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