【ロンドン=小滝麻理子】英国の北アイルランドで実施された自治議会選挙(定数90)は4日、開票を終えた。アイルランドへの併合を求めるカトリック系のシン・フェイン党が躍進し、英統治を望む第1党のプロテスタント系の民主統一党(DUP)に迫った。情勢次第では共同自治の枠組みが崩壊しかねない。
議会は1月、DUPが主導する自治政府のエネルギー政策をめぐり解散。議会選挙では、シン・フェイン党が27議席を獲得し、DUP(28議席)とほぼ互角になった。得票数の比率も従来の24%から28%に高まった。
3月末までに欧州連合(EU)への離脱通告を予定するメイ政権にとって、北アイルランドの混乱は重荷となりそうだ。両者の連立協議は難航するとの見方が多い。3週間内に両党が自治政府を発足できなければ、北アイルランドは英政府の直轄統治に復活する可能性がある。
北アイルランドではプロテスタント系とカトリック系の住民の武力対立が1960年代から激化。98年に和平合意が成立し、共同自治が整ったが対立の再燃などで中断。2007年にDUPとシン・フェイン党による連立の自治政府が復活した。