THAAD:中国の報復に日本は冷静な対応、半減した自動車売り上げは1年で完全回復

 2010年に尖閣諸島沖で中国漁船が日本の海上保安庁の巡視船と衝突、船長が逮捕されると、中国はレアアース(希土類)の対日輸出を制限した。日本は世界貿易機関(WTO)に中国を提訴、レアアースの輸入先をインドやベトナムなど多様化することで対応した。千葉科学大学の大澤文護教授は「日本は中国がいつでも過度な措置を取る可能性がある国だという認識を持っており、中国の脅しのような対応にもひどく驚いたり戸惑ったりはしなかった」と語った。

 中国の日本に対する制裁措置は結局、一時的な効果を見せただけで効力を失った。中国国内の日本車販売は1年後の2013年秋から回復した。13年11月、中国国内の日本車ブランド販売は、日産は前年同期比96%増、ホンダは約2倍増、トヨタも41%増だった。一時的に減少した訪日中国人観光客も急増している。13年に131万人だった訪日中国人観光客は16年には637万人まで増加した。

■台湾、中国の観光規制で新市場開拓

 台湾でも昨年5月、蔡英文総統が「一つの中国の原則を認めよ」という中国政府の要求を聞かなかったため、中国国家観光局は台湾の団体観光客を規制した。その余波で蔡英文総統の就任以来、4カ月連続で中国人観光客が30%ずつ減少し、観光業界従事者2万人が総統府前で大規模なデモを行うほどだった。しかし、昨年は外国人観光客1069万人が台湾を訪れ、前年比2.4%増と過去最高記録を更新した。中国人観光客の減少に対応して東南アジア諸国などに対しノービザ入国を拡大するなど、「新南向政策」を取り、新規の市場を開拓したのだ。日本・韓国・シンガポールなど従来の市場に対するマーケティングも強化した。中国の制裁に中国人観光客は前年比18%減で、特に団体観光客は30%以上も減少した。しかし、同期間に台湾を訪れたタイ人観光客は前年比57%と急増、ベトナム人観光客は34%増、フィリピン人観光客も24%増加した。所得が高い日本人観光客は17%増、韓国人観光客も34%増だった。ドイツのメディア「ドイチェ・ヴェレ」は「結果的に見て、中国の台湾に対する制裁はこれといった効果がなかった」と評した。

李恵云(イ・ヘウン)記者 , 北京=李吉星(イ・ギルソン)特派員
前のページ 1 | 2 次のページ
<記事、写真、画像の無断転載を禁じます。 Copyright (c) The Chosun Ilbo & Chosunonline.com>
関連ニュース