中国が近隣諸国に対して「脅迫まがいの経済報復措置」を取ったのは今回が初めてではない。尖閣諸島(中国名:釣魚島)をめぐり日本と領土問題を起こした時も、中国は日本製品の不買運動など全方位的な経済報復措置を取った。中国政府はまた、台湾で昨年5月に独立路線を掲げる蔡英文総統が就任すると、台湾に対して旅行禁止措置を下した。しかし、日本と台湾は冷静な対応や中国への経済依存度を引き下げることで危機を克服した。
■中国国内の日本車販売台数が1年で回復
日本が2012年9月に尖閣諸島を国有化すると、中国では大規模な反日デモや激しい日本製品不買運動が起こった。中国・青島にあるトヨタの販売代理店やパナソニックの電子部品工場はデモ隊の放火により全焼した。日系デパートや店舗では略奪も行われた。中国政府は反日デモ隊への対応に消極的で、事実上、略奪デモを容認していた。「人民日報」などの国営メディアは「中国と日本の紛争が続けば、『失われた20年』を経験した日本は再び20年間の不況を覚悟せざるを得なくなる」と脅迫した。インターネットでは日本の動画に対する検索制限措置も取られた。
最も大きな打撃を受けたのは自動車産業だった。デモから1カ月でトヨタ・ホンダ・日産の中国国内販売台数は半減した。2012年だけで日本車業界の純利益1兆7000億ウォン(約1700億円)が消えた。パナソニックとキヤノンは中国国内工場の稼動を中止した。
中国政府は日本への観光も制限した。2012年10月に日本を訪問した中国人観光客は6万9713人で、前年比34%減だった。航空機やホテルの予約でも大量のキャンセルが発生した。しかし、日本政府や国民、メディアは冷静に対応した。神戸大学の木村幹教授は「日本が敏感に反応すればするほど、中国政府はこのカードをもっと利用するだろうという共感帯が形成されていた。日中経済は相互補完的な関係なので、一方だけが被害に遭うことはあり得ず、無期限に続くはずはないという分析もあった」と語った。
その後、トヨタ・バンダイなどの日本企業は「中国は政治的リスクがあまりにも大きい。生産施設を中国からタイ・インドネシアなどに移す」と発表した。いわゆる「チャイナ・プラス・ワン」戦略だ。これにより、日本の輸出額のうち中国が占める割合は2011年の19.7%から14年には17.5%へと低下した。こうした日本の対応は、「中国に対する学習効果」というのが専門家たちの見方だ。