【ソウル=桜井紀雄】中国当局が国内旅行社に対し、韓国旅行商品の販売を全面的に中止するよう指示したと、韓国メディアが一斉に報じた。
米軍の迎撃システム「高高度防衛ミサイル(THAAD)」の韓国配備に対する本格的な報復の一環とみられ、系列ゴルフ場を配備地に提供した韓国ロッテグループへの狙い撃ちも相次いでいる。
複数の韓国メディアによると、中国国家観光局は2日、北京の旅行社に対し、団体、個人を問わず、15日から韓国への旅行商品の販売をやめるよう口頭で通達した。地方でも同様の指示が伝えられているという。
昨年韓国を訪れた中国人旅行者は約800万人とされ、外国人旅行者の半数近くを占める。航空券の個人購入を除いて韓国渡航が制限されることになり、旅行者が400万人程度減るとも危惧されている。
一方、ロッテがTHAAD配備先に関して国防省と契約した2月28日、同社の中国向けホームページがダウンした。今月2日にはロッテ免税店のサイトが一時利用できなくなった。中国からのサイバー攻撃とみられている。
また、中国大手通販サイトのロッテのコーナーが突然閉鎖されたほか、ロッテの店舗や系列会社への中国当局の一斉点検も繰り返されている。