ソウル株式市場で3日、ホテルや化粧品メーカー、旅行関連企業の株が売られ、指標となる韓国200種株価指数(KOSPI200)はアジア株式市場の中で最悪のパフォーマンスを示した。中国が旅行代理店に韓国ツアーの販売停止を指示したと韓国の聯合ニュースが報じたことが響いた。
サムスングループ傘下の新羅ホテルは同日、13%下落し、2015年9月に付けた記録的高値からは50%超下げた。韓国化粧品最大手のアモーレパシフィックも13%下落した。
韓国による米軍の「高高度防衛ミサイル(THAAD)」の国内配備の決定に中国は反発しており、両国間の緊張は高まっていた。
韓国のロッテグループは今週初め、THAAD計画へ用地を提供することを合意しており、同国は計画変更の兆候はみせていないことから、経済的打撃のリスクを当面は抱えることになる。
コリア・インベストメント・マネジメントのジュン・サンジン氏は「韓国でTHAADのリスクを受けない業界はない」と指摘。「多くの企業は中国に工場を構えており、中国はそれらの操業を停止する可能性がある」と予測する。
韓国の観光や消費者関連株は15年まで、KOSPI200内で有数の好調なパフォーマンスを示しており、中国人旅行者の需要増が大きく影響していた。
韓国の苦境は、他国に利益をもたらす可能性がある。UOBケイヒンのアナリスト、K.アジス氏(シンガポール在勤)は、中国人旅行者の行き先変更で「日本とタイが直ちに恩恵を受けるだろう」と予測する。(ブルームバーグ Heejin Kim)