広島県のJR可部線の可部―あき亀山(1.6キロメートル)が4日、営業運転を再開した。2003年12月、乗客減により可部―三段峡(46.2キロメートル)が廃止になったが、地元の要望に加え、周辺の人口も増えてきたためだ。廃線になったJR路線が復活するのは全国初。
4日午前5時すぎ、あき亀山駅を列車が出発。「一番列車」を一目見ようと、多くの住民が集まった。角村紀美枝さん(64)は娘と一緒に列車を見送り「朝早くはバスがなかった。便利になってうれしい」と顔をほころばせた。延伸区間では1日計99本が運行される。
同駅で開かれた記念式典で、松井一実広島市長は「(再開に向けた)地域の皆様の尽力に敬意を表したい」とあいさつ。JR西日本の吉江則彦副社長は「地域の足として役立ち、まちづくりにつながることを期待する」と述べた。
可部線はかつて、国の特別名勝の観光地「三段峡」まで運行していたが、乗客が年々減少。赤字に陥り、可部駅までを残し、廃線となった。13年に広島市とJR西が運転再開で合意。再開にかかる費用27億円は市と国が負担した。