確かに人間の心臓だってすごい。我々を生かしてくれる必要不可欠な臓器であり、電気的興奮によって活動し、魂などの隠喩としての意味もある。
しかし、心臓そのものが再生できるのだろうか? 特別な透明な血液を送り出したりすることがあるのだろうか? 凍らせても、また元に戻るのだろうか?
人間以外の動物の中にはこうしたこと、いや、これ以上のことができるものがいるのだ。深海からヒマラヤの頂上まで探し求めた結果、驚異的な心臓をもつ生物の正体が明らかとなった。
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1.5つの疑似心臓をもつミミズ
心臓をどう定義するかにもよるが、ミミズには心臓が5つあると言えばあるし、まったくないとも言える。
彼らには、通常考えられる心室に分かれた筋肉組織もないのに、大動脈弓という5つの特殊な血管を持っていて、それが収縮して全身に血液を送り出す。
近くでよく見ると、この大動脈弓が縮んだり延びたりしているのがわかる。ひとつダメになっても、あと4つあるので心配はいらないというわけだ。
2. 多数の心室を持つゴキブリの心臓
Heart beat (Cockroach)
人間の心臓は4つの心室に分かれ、それぞれが特殊な仕事をしているため、どれかひとつでも機能しなくなればまずいことになる。
しかし、ゴキブリの12〜13の心室に分かれた心臓は、一列に並んでいて、それぞれ別々の筋肉で強化されている。
これだけたくさんのスペアを備えつけていれば、どの心室がダメになっても、ゴキブリ本体にはほとんど影響はない。まさにゴキブリ最強伝説がここにまた築かれることとなる。
3. 心臓を大いに活用しているホソヒラタアブ
一回の飛行でできるだけ花粉を集めるため、花の上空でホバリングしていることが多い。これを可能にするために、彼らは単線(一方向)の心臓を発達させて、時間とエネルギーのほとんどを費やして、口器や翼筋のある頭部や胸部へ血液を送り出している。
腹部は心臓が休んでいるときに時折おこぼれの血液をもらうだけだ。
4. 再生するゼブラフィッシュの心臓
Zebrafish Heart Regeneration
ペットショップでよく見かけるなんということはない魚だが、その縞模様の皮膚の下にはすごい心臓が脈打っている。なんとも有能なまさにスーパーヒーローの心臓なのだ。
2002年、ゼブラフィッシュの心室を20%切り取っても、数ヶ月で失われた部分がすべて再生することがわかったのだ。
これは、特殊な筋細胞のおかげで、組織の成長だけでなく、新しい血管生成の始まりまでも促す。この自己回復心臓の研究を進めて、最終的に人間の臓器にも応用できないかと研究者たちは考えている。
5. 全身に透明な血液が流れるジャノメコオリウオ
南極海の深さ1キロのあたりに生息しているが、どのようにして寒さに対応しているのだろうか? そのひとつは大きな心臓だ。
平均的な魚の心臓よりも、5倍は強い。その血液には、酸素と結びつく赤色のタンパク質であるヘモグロビンがなく、海水が非常に低温のため、酸素が直接血漿に溶け込む。そのせいで、血液が透明になる。まさにアイスフィッシュたるゆえんだ。
6. 3つの心臓をもつコウイカ
ほかの頭足動物と同じく、コウイカも3つの心臓をもつ。ふたつはそれぞれのエラのため、3つめは残りの体のためにある。
冷たい水中にいるコウイカは、有酸素容量を高めるため温かいところにいるものよりも心臓が大きい。血中にはヘモグロビンではなく、ヘモシアニン(血青素)をもち、そのため血液の色は青い。文字通りまさに貴族だ。
7. 限界に挑戦しているルリノドシロメジリハチドリの羽ばたき
ハチドリの羽ばたきは、毎秒15回と言われている。とても速すぎて、人間の肉眼でははっきりとらえることはできない。
ルリノドシロメジリハチドリの場合は、毎秒21回を計測したことがある。この効率の良さが、酸素を筋肉のミトコンドリアへ運ぶ、彼らの比類のない能力の助けになっている。脊椎動物としてぎりぎり可能な、究極の構造性と機能性なのかもしれないと研究者は言っている。
8. 強靭な心臓で長距離を飛ぶインドガン
Top Gun geese! Extreme animals - BBC wildlife
渡りは鳥にとって大変なことだが、インドガンの渡りのルートは特に負担が重い。彼らは直接ヒマラヤを越えるため上空を目指すのだ。
海抜6000メートルの山の上を飛んでいく群れが定期的に観察されている。彼らは並外れた強い心臓と、毛細血管が豊富にはりめぐらされた飛翔筋とで、飛行時には安静時より5倍も多くの血液を送り出すことができる。また、過呼吸状態になっても、めまいをおこしたりしないのも利点となっている。
9. 心臓を遅く動かすコウテイペンギン
コウテイペンギンはとても心が優しいことがよく知られている。一夫一婦制を貫き、夫婦互いに愛しみ合い、卵やヒナの世話もよくする。
しかし、あまり知られていないが同様に重要なことは、彼らの心臓の動きはとても遅いことだ。水中に潜っているときは、彼らは1分間に15回ほどの心拍数に抑えることができる。そして生命維持に不可欠な重要な臓器以外への血液の供給を止め、水中での狩りに必要なだけの酸素を分配する。
水上に戻るときは、スキューバダイバーが減圧病を避けるためにやるように、傾斜のある角度で上がってくる。
10.心臓の動きを止めることができるアメリカアカガエル
Frozen Wood Frog survives the winter in Alaska
クマからウッドチャックまで、冬眠中に心臓の鼓動を抑えることができる動物はたくさんいるが、アメリカアカガエルだけは、完全に心臓を止めることができる。
冬の間、彼らは基本的に全身氷づけになる。その細胞の特殊な溶質性のおかげで、代謝活動をやめ
、体内の水分のほとんどを凝固させてしまうのだ。まわりがすべて凍りつくほど寒いときは、即座に心臓が止まり、暖かくなって氷が溶け始めるとダメージもなくまた動き出すのだ。
11. 心臓の動きが目に見えるグラスフロッグ
Glass Frog Heartbeat
カエルの心臓は3つの心室とふたつの心房から成っていて、体のほかの部位から血液を受け取り、ひとつの心室がまた血液を送り返している。
グラスフロッグは、その工程を直接目で見ることができる。腹の皮膚が透明なので、心臓やほかの内臓の間にはりめぐらされている血管の働きがよく観察できるのだ。
12. 心臓が脂肪でふくらむニシキヘビ
人間の心臓が脂肪でいっぱいだったら、心配の種になるが、ニシキヘビにとってはこれはとてもいいことなのだ。
大きな獲物を丸のみした後では、ニシキヘビの心臓の大きさは獲物から吸収したの脂肪酸で40%も膨れ上がる。これが消化を助けるが、それでも数日かかる。血中も脂肪酸でいっぱいになり、まるでどろどろしたミルクのようだという。
13. 巨大なるシロナガスクジラの心臓
シロナガスクジラの心臓は車ほどもあり、人間が大動脈の中を這いずりまわることができるという伝説がある。もちろんこれは誇張だが、当たらずも遠からずで、小さなゴルフカートくらいはあるらしい。
大動脈については、人間の頭はほとんど通らないという。これは2015年に実際にクジラを解剖した科学者の話だ。
14. 心臓の血管が伸び縮みするキリン
レバーを思い切りひっぱたいて、的を空中高く放ち、その高さを競うゲームがある。キリンもこれと同じで、彼らの心臓は一日中、毎日、重力に逆らって血液を天高く頭のほうまで上げなくてはならない。
キリンがこれをできるのは、特別に厚く強靭な心臓壁と、速く柔軟に伸び縮みする血管があるおかげだ。血管は、キリンの首が長くなるほど太くなったため、重量が重くなってもつぶれてしまうことはない。
15. 心拍数が急速に跳ね上がるチーター
This Is Why You Can't Outrun a Cheetah
チーターの安静時の心拍数は1分間に120で、ジョギングしている人間と同じくらいだ。だが、人間の心拍は最高が220でそこまで達するには少し時間がかかるのに対し、チーターは、ほんの数秒で250まで跳ね上がってしまう。
あまりにも急激に上昇するので、チーターの短距離走はせいぜい20秒が限界だ。その後は、内臓がとても熱くなり、後々までダメージが残る。
via:What Animal Has the Weirdest Heart?/ translated konohazuku / edited by parumo
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コメント
1. 匿名処理班
チーターの走りってそんなに負担大きいのか(´・ω・`)
一時的にパワーは増すけど後々の負担がデカいって、漫画のドーピング設定みたいでワクワクするけどさ
2. 匿名処理班
シロナガスクジラの心臓に住みたい。
3. 匿名処理班
すごーい!
4. 匿名処理班
鶴の一種がエベレストを超えて山脈超えしてるのは割と有名では?と思ったけどね今回は取り上げられてないな
高度10000m付近を酸素ボンベも無しで飛行してる姿は感動
5. 匿名処理班
オウムガイですよ〜〜
6. 匿名処理班
コウイカじゃなくてオウムガイじゃない?この図
7. 匿名処理班
チーターはいろいろ犠牲にしすぎ
8. 匿名処理班
12の画像、ニシキヘビじゃなくてイエローアナコンダ(ボア)では?
9. 匿名処理班
焼肉では「ハツ」が好きなので、そういう目で見てしまった…
あ、焼鳥では「せせり」が好きだからキ…キリンが…略。
10. 匿名処理班
なおその人間の心臓より寿命(鼓動継続時間)は短い模様
11. 匿名処理班
チーターさん…(´;ω;`)ウッ…