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賃料、不自然な減額 国側「軟弱地盤」理由に

「森友学園」に売却された国有地で建設が進む「瑞穂の国記念小学院」=大阪府豊中市で2017年2月27日、本社ヘリから幾島健太郎撮影

 大阪市の学校法人「森友学園」が取得した大阪府豊中市の国有地を巡る問題で、国が「土地に元は池沼だった部分もあるが、価格への影響は考慮しない」とする不動産鑑定を基に賃料を決めながら、学園側に促される形で約3カ月後にやり直した価格調査では判断を一転させ、池沼部分の存在などを理由に大幅に賃料を減額していたことが分かった。国は国会審議で、不動産鑑定の後に工事費がかさむ軟弱地盤と判明したためと説明しているが、根拠とした学園によるボーリング調査は不動産鑑定の約3カ月前の実施だった。

     鴻池祥肇(よしただ)参院議員事務所の陳情記録では、賃料を年間約4200万円とする不動産鑑定が出た同じ日、森友学園の籠池泰典理事長が「高すぎる」と相談し、2000万~2300万円の賃料を希望したとされる。国有地の価格設定を巡り国と学園側との交渉は不自然な経緯が多く、国会審議で野党が追及している。

     小学校開校を目指す学園は、豊中市内の国有地(約8770平方メートル)に着目した。2013年9月、国有地の取得公募に応募し、一定期間の貸借後に土地を購入する形で取得することになった。

     国有財産を所管する財務省近畿財務局の依頼で、大阪市内の不動産鑑定士事務所は15年1月9日、賃料は約4200万円が適当と査定した。しかし、鴻池氏の事務所の陳情記録によると、同じ日に籠池氏から「本日提示あり。何とか働きかけしてほしい」と相談があったとされる。事務所側は便宜を図ったことはないとしているが、その後の財務局との賃料交渉は学園側のペースで進んだ。

     賃料約4200万円の根拠は、不動産鑑定士事務所が作成した評価書。問題の国有地はかつて池沼や田があった場所だが、そうした条件も考慮した上で評価した。しかし財務局は約3カ月後、学園側からボーリング調査結果を示されたことなどを理由に、同じ鑑定士事務所に「価格調査報告書」を作成させた。報告書では池沼があったことを考慮すると判断を変え、ボーリング調査結果も踏まえて賃料は約3600万円まで減額した。

     ただ、このボーリング調査は1月の評価書が作成されるより前の14年10月時点のデータで、今回の問題を追及する民進党からは「なぜ15年1月の評価書を作る際に反映させなかったのか」と疑問の声が上がっている。

     財務局と学園は15年5月に貸し付け契約を結ぶが、この2回の査定を経て賃料は年2730万円まで下方修正され、学園側の希望額に近づいた。一連の価格評価について国は適正な対応だったと強調するが、野党は「学園の要望に沿う形で、できるだけ賃料を安くした疑いが強まった」として国会で追及を続ける構えだ。【服部陽】

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