伊藤あずさ
2017年3月4日05時04分
「座して死を待たず」の覚悟だったはずなのに、石原慎太郎・元東京都知事(84)が繰り返したのは、「報告は受けていない」だった。豊洲市場への移転問題で、石原氏が3日に開いた記者会見では、移転をめぐる決断の経緯や責任は明確に示されず、都民や都の職員からは不満の声が漏れた。
「とてもそれまで待てない心境だ。座して死を待つつもりはない」。3日午後、東京・内幸町の日本記者クラブ。石原氏は報道陣約380人を前にこう切り出した。
「それ」とは、石原氏の証人喚問が予定される20日の都議会調査特別委員会(百条委員会)。約5分間、硬い表情のまま思いを述べ、「私は最高責任者として豊洲移転を承諾した」と語り、都知事という立場上の責任は認めた。
しかし、土壌汚染が指摘されていた豊洲移転の是非など具体的な点を問われると、「私は専門家じゃない。知見も、能力もない」「総意として上がってきたものを認可した。議会も是とした。責任はみんなにある」と淡々と繰り返すだけで、明言しなかった。
かつての強気な「石原節」もなりを潜めた。「責任逃れ、恥さらしではないか」との挑発的な質問に対しても、「私は恥と思っていない」と表情を変えずに反論。自ら詳細な経緯を調査しないまま会見に臨んだことを問いただす記者とのやりとりが、かみ合わない場面もあった。
一方で、豊洲への移転延期を決…
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